飾られた胡蝶蘭が宿す
- ★★★ Excellent!!!
祝福の象徴として並べられた胡蝶蘭の視点から、「咲くこと」「求められる役割」「見えない孤独」を、とても繊細に描いた作品だと感じました。
光を受ける角度や、長くもつことを評価される環境の中で、外の風を知らないまま立ち続ける姿には、私たち自身の「期待される形」に縛られる感覚が、どこか重なるところがあるように思えます。
穏やかな語り口なのに、胸の奥がかすかに痛む余韻が残り、幸福とは何か、咲くとはどういうことか
そっと問いが手渡される一篇でした。
やわらかな共感が灯る作品だと思います。