初心者による初心者のための初心者の建築①




「まさかの大群待機とは……恐れ入ったなぁ」


 森の入り口まで戻ってきたら、狼の魔物さんが群れを成して僕を出待ちしていた。

 今の状況を表すとしたら、その一言で説明できてしまうだろう。


 「どこからここまでの大群が?」とか、「なんで村の方向に行かず僕をにらんでいるのか?」とか、明らかに僕を対象に待機していたよねとかは思うものの、今はそんなことを考えている場合じゃない。

 数えなくても100匹以上入るだろうなぁ、と見た瞬間感ずるくらいには多いんだもの。多すぎてこう、集合体恐怖症的なあれが発症しそう。

 もしそんなのが発症したらなすすべもなく殺されちゃうだろうし、さすがにそれは避けるけどね。



 ――しかし、それを避けれたとしても、問題は解決しない。

 結局、100匹以上めらめら燃え盛る炎を纏う魔物くんがそこに待機している、という事実は変わらないのだから。

 少女Aとかを助けた時は、群れとはいえここまで多くはなかった。たぶん、20匹くらい。あくまで気絶する瞬間に見た映像から予想しているだけだけど、そう大きく間違っていることはないだろう。


 とはいえ、僕もただでやられるわけではいけない。

 せっかくパワーアップもしたし、どうしてか不思議パワーも手に入れた。

 だったら、それを活かして精一杯抵抗……いや、蹂躙するしかないだろう。


 指パッチンをし、丸太たちを浮かばせる。

 もう今日何回もやってるおかげで、指パッチンを失敗することはほとんどなくなってきた。



 不思議パワー――【念動力】を使うためのエネルギーは、十分。

 回復速度も割と早いおかげで、この力をずっと酷使し続けていた今日でさえあと2時間は使うことができる。あくまで、今のペースで使い続けたらってだけだけど。


 それでも、素手で立ち向かうよりは断然心強い。


 ――そんなことを考えながら、僕はずっと睨んできている狼魔物くんたちの戦闘を開始するのだった。








「――行け」


 持っていた……自身の後ろに待機させていた木の幹を回転させながら、敵——なんどめかの狼の魔物に向けて射出する。


 一つはそのまま直進し、突撃。

 二つ目以降は、僕の指動きに合わせ、縦横無尽に右へ左へと移動する。


 気分はまるでコンダクター指揮者。やってることはただの殴殺である。

 グロいね、とっても。



 それにしても――と、目の前の状況を見ながら考える。


 今僕の目の前で起きていることを一言で表せば「丸太による動物虐待」、その一言で片付いちゃう。

 だけどはたから見たら圧倒している見えるとはいえ、よく見てみると違うものも見えてくる。


 そう、それは――



「うーん、丸太燃えてるなぁ」


 ――そんな、ごく普通自然法則に則ったそれである。


 しかし、そんな常識的な光景も僕にとっては問題そのもの。だって僕の創る家、地下を掘って建造するとはいえ、木造の予定だもの。

 柱と屋根、あと床……うん、上げ始めたら改めて思ったけれど、とにかく目に見えるところはすべて木でコーティングするつもりだったんだけも。

 ……うん、もしかしたら石とかも使ったほうがいいのかもね。

 ほら、この狼さんたちの捕獲、処刑ルームは石で作るとか。地下牢感出て雰囲気出るしいいじゃん、そうしよう。


「取り敢えず、邪魔——」



 ――そう言って、僕は邪魔な魔物さんたちに向けて一気に丸太を振るった。

 同時に僕もこぶしを握り、突撃。





 結果、5分後にはすべての魔物を殲滅した。

 ちなみに、パワーアップしすぎて50mを2秒かからず走れるようになった。




 ◆




「――堕ちろ!」


 そんなことを叫びながら、地面に複数のスコップを落とす。

 ぶっちゃけ自分で地面を殴りつけたほうが一回に掘れる穴の大きさは大きいけど、【念動力】を使った数で攻める方法のほうが連続して掘れるからね。計測したわけじゃないけど、こっちのほうが効率よく掘れるという確信がある。


 ちなみに「堕ちろ」と叫ぶのは、そのほうがかっこいいから。

 念ずるだけで動いてくれる【念動力】に発動句なんていらないからね。



 ――と、そんなことを考えながら掘り進めること早1時間。

 周りも暗くなってきたなというところで、森と村を分断する深い穴をあけることができた。


 もちろん、ばれないように軽く隠してはいる。

 丸太から剥いだ木の皮を軽く――端どおし押し付け――接着したのを軽くかぶせているだけとはいえ、遠くから見たらちゃんと地面だ。上に足を乗せた瞬間落とし穴のごとく落下するとは思うけど、それはもう自業自得というかなんというか、運がなかったなと考えてもらいたい。

 だって村で森には近づくなって言われてるもの。自業自得と思ってもらいたい。



「ここから先は、明日にしようかな」


 掘っただけとはいえ、さすがにちょっと疲れてしまった。

 拳についた血をぬぐうこともなく掘っていたんだし、村に戻りたい。


 そうして、僕は今日の作業を終え村に帰るのだった――

 善意の協力者不運な被害者のおかげで布団は盗ってきたもらえたから、野宿とはいえ意外と快適に寝ることができた。感謝である。




あとがき――――

はい、本日も短め。

テスト終わったら3000文字更新に戻す……と思うから許してね!


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