第六話 レジラル

ネストに来てから半年がった。

俺は毎日、アレスに特訓と仕事を命じられている。

特訓は、魔力の制御だ。ひたすら集中し、体内を巡る何かを掴もうとする。

最近になって、ようやくその流れを少しだけ感じ取れるようになった。

だが、アレスは言った。


「魔力の流れを掴むのは、剣の持ち方を理解するのと同じくらい初歩的なことだ」


初歩すら、俺はまともに越えられない。

仕事は、治安維持。そう言えば聞こえはいい。

だが実際には、逆らう者への粛清だ。言葉を選ぶ意味などここにはない。

この街ネストには、アストラルの法など存在しない。

代わりに、アレスを主とする「レジラル」という組織が、秩序という名の支配を敷いている。

レジラル以外にも、組織はある。規模も様々だ。

だが、レジラルがこの街を支配できているのは、アレスの存在があるからだ。

神級の魔術師。その強さは底が知れない。20~30人の王都級と同等の影響力があるとも言われている。アレスがいる限り、レジラルを敵に回すのは、ハエが戦車に体当たりするようなものだ。


レジラルを憎む者は少なくない。だが同時に、この街が生み出す経済効果を享受している者も多い。酒、ギャンブル、薬、身体。現実から逃避させてくれるものが、ここには何でも揃っている。


誰かにとっては悪意の巣窟。誰かにとっては楽園。

そして、俺にとっては、ただの牢獄だった。



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