悪魔は嗤いダンジョンに幸福を呼び込む
シンゴペンギン🐧
第1話 ジョン=ドゥ
いつだったか神の御前に召し上げられいつの間にか転生という形に収まり世界のはじまりから今にかけて生きてきた。
何故神の前に召し上げられたのか、とりあえず自分には覚えがないのだが、様々な善行をしたからだそうだ。
内容は名前と共に忘れてしまったんだが、どうにもそのおかげで与えられる能力というのも色々あってありがたかった。
ステータスというものはさすがになかったが、能力を研磨するたびに色々と出来る事があるというのは教わった。
目の前にいた神はどこか優し気な白髪の老人で基本的に目立たないような極めて印象に残らない好々爺だった。
世界というのはある程度成熟するとそこに現れた人を神にする事もあるらしい、目の前の神もその選定に選ばれ創造神となった。
その神の元々の世界も剣と魔法のファンタジー世界でそこもまた話を聞くと中世レベルの世界だったらしい。
魔法が科学の代わりをしていて別段そこまで不便ではなかったらしいが、地球の技術をみるとやはり大分劣るという話だ。
ステータスというのもはじめは考えたらしいが、自分が扱いきれないものを無理に作るのも違うという事でやめたらしい。
種族や能力の習得度というのは地球のファンタジー小説やアニメを参考にしたらしいが、そもそも僕はそこまで見なかったと記憶している。
神と意見交換をしているうちに、とりあえず僕は悪魔という事で落ち着いた。
新しい世界での種族は色々と造ってはいるが、自由度の聞く種族というと地球で言う悪魔がいいんではないのかとそういう話になりまして、色々な逸話もあるし、詳しくはないので想像で話したりもしたが。
どうにも僕は名前も忘れたし自分の善行も忘れた、なのに不思議と不安にもならないのでどうやら大分楽天家な生命なのだろうなあと思った。
とりあえず自由にしていいと言われているのでテンプレの悪魔というのは面白くはないので善行を重ねる謎の悪魔ということにしておこう。
名前がないので安直にジョン=ドゥということにして、名前のない男や女の名前らしいがまあいいだろう、新しい世界というのはこれから芽吹く事もたくさんある、神が導き手として僕を指名したのなら緩やかに幸福をもたらすことにしよう。
能力的には様々なものを頂いているし、不老不死やら能力値を鍛える分だけ限界がなくしてもらえたりとか、神性とか魔性とかダンジョン造れたり、まあ自分の体の性能はこれから考えたらいいか。
色々説明は聞いたし、これから世界に降り立ってから考えるとしよう。
神が造った世界は神が降りることはできても分体でしかできないらしいからね、さながら僕は創造神の使徒という立ち位置か。
他にも別種族の使徒もいるらしいけど、それは世界に降り立ってから出会うらしく、それはそれで楽しみだ。
とりあえず大地や海や空とか植物や様々な種族や村は用意したといっていたから、まあそのうち様々な種族が文明を起こしておおくの事をするでしょう。
神様は好々爺だしまあよい世界になるんじゃないかなあと思うわけです。
そう思っていた時代もありましたねえ、年月が経つのは早いもので世界が生まれて一万年の月日が経ちましたよ。
僕もそれなりに伝承の悪魔として有名なんですがね、さあ目の前の少年にため息をつく。
ちなみに僕の今の姿は黒髪をオールバックにして地球の技術とこちらの世界の技術を重ね合わせた特別製の黒いスーツに黒い革靴、そして左耳には様々な魔法効果をつけた六連のシルバーピアス。そして紅い瞳に190センチの細身の姿。仲間内ではえげつない美形と言われているらしいが、自分としてはピンときていない。
髪はそこそこ長いと思うのでたまにウルフカットにしたりなんだり楽しんでいる。見た目はクズ臭のする20代前半の男らしいがどういうことかよくわからない。
まあそんな話は置いといて、問題は目の前の少年だ。
明らかに強制的に強化術をかけられ、分不相応な聖属性の鎧をつけられている、一時期はしゃいで暴れまわった時に変に絡んできた教団の仕業というのはわかっているんだが、恐らく5歳ほどの少年をこんな僕が造ったダンジョンに強制転移させるとは恐れ入る。
いつもならば適当に防御するんだが、なんだかんだ少年の鑑定をして事情も知ってしまったからなあ。
この少年の母親は教団の聖女で複数いるうちの聖女なのだが、とある青年に恋をしてしまい、この少年を身ごもり産み落としたようだ。
だが相手方の青年が魔王の血族でもあり、教団の定義に反するということで幽閉され、少年は生まれた時から教団の道具として使われてきた。
三歳の時点でもう手を汚している時点で、教団がどんな人間達が知れているので僕的にはギルティ。
そんな事情を知ってしまったし、何より母親恋しさに5歳で手を汚すまで追い詰められなければいけない少年に対して基本的にかわいそうとしか思わない。
まあ一万年も経てば様々な思想が生まれ、ろくでもない者もあらわれるか、本来なら両親の愛情を得てすくすくと育つべき存在がこんな風になるのは実によろしくない。
父親の方はなんとか聖女を救い出そうとしたが教団の思わぬ強力さに重傷を負い、今回復中との事だ。
基本的に魔族が聖属性に弱いのは周知の事実だし、仕方ないんだが、聖属性を扱うわりにはなかなか名前は忘れたが教団も教団でえぐい事をしているとは把握している。
元々確かその教団は聖女が立ち上げたんだが、初代の血を継いだ二代目がぼんくらで、二代目の聖女がありとあらゆる美男を教団に捧げるようにせまって一時期総スカンくらったんだろうなあ、僕もきもかったから、手を出されそうになって隕石をふらしたことあんだけど、それ以来神敵認定されてしまってそれから面倒になったな。
その時代はダンジョンマスターの力で色々作っていたし、なんか変に攻略もされてうざかったんだよなあ。
まあそれはともかくこの少年をどうにかするのが先なのでとりあえず正気に戻す事にしようかな。
どう考えても思考鈍麻の術と洗脳の近い事をされている。
前から気に入らなかったんだよなあ。
思想的にこのダンジョンもそれなりに育ってきたし、そろそろ飽きたし。
潰すか。
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