宙昔之夜
しう
第1話ー明ける。
◆◇◆ー??
──終わりなんて来ないような,暗い日々が続いた.
痛い,怖い,苦しい.何度もそう思った.変化を願った,願い続けた.
けれどその代償はとてつもなく大きくて.辛くて.自分の人生すら一変させるようなことがあって.家族すら,手元から溢れ落ちていく.守れなくなっていく.
──痛いのに,もう嫌なのに.そう思うのに,鳥籠からは抜け出せない.
??「……夢,なんだから.楽にさせて欲しいのに」
自分の人生が浮き彫りになったかのような,鉄の鳥籠.そこに夢の中にまで囚われている.囚われ続けている.
──それは何故か?
何故だろう.
無意識的に囚われることを望んでいるのか? はたまた,助けを自分ではなく他人に委ねているから?
尽きぬ疑問が,この空間を支配する.心のうちのもやもやは,増えていく一方だ.
それでもいいと,心の底で望んでいるのは,「──」自身なのに.
??「どうか,もう,奪われませんように」
そう思い手を伸ばす.伸ばしたところで,何もないと知っているのに.
けれど,今夜は違った.
温かい光が差してくる.それに導かれて,身体がふわりと空中に浮かんでいく.
──これが,救いなのかもしれない.
そう思い,身を委ねる.目を閉じる.
そこにあるのは,変わりもしない現実のくせに,やけに胸を突っついてくる.
??「……もう,置いていかないでね」
覚めた現実で,一体何をするのだろう.どうせ,鳥籠に囚われるのに.囚われ続けるのに.
──本当に,馬鹿だなぁ.
「──」はそう思いながら,夢の世界から覚めた.
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