一念発起して使いにくい冷凍庫を処分すると決めた天川。しかし、いざ処分しようとすれば立ち塞がるのだ。家電リサイクル法という壁が! 産廃業者へ産廃物を持ち込む。ただそれだけだったはずが、天川は思わぬ辛苦を味わうこととなる……。
量販店への割高な持ち込み料を惜しみ、天川さんは直接、古い冷凍庫を産廃業者へ持っていくことにしました。が、行ったはいいけれども迷って困って、いろいろ思って感じて。
実際に天川さんが体験した“初めて”に、読者である私もまた「へあー」と感心するよりありませんでした。出来事を正確に記し、右往左往する天川さんの赤裸々ぶりに「ふふっ」とさせられながら。
そして思ったのです。これって旅行記を読んだときの心境ですよねーと。実際、普通に生きていて産廃業者さんと接する機会なんてないじゃないですか。我々が日常を過ごしている場の内にはこんなふうにたくさんの異郷がある。その気づきこそまさに、エッセイの醍醐味なのです。
つまらない日常の裏にはその実未知が満ちている。それを楽しく教えてくれるお話です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=髙橋剛)
容量重視で買った冷蔵庫を買い替えることにした。
普通のルートでは廃棄できないらしく、特別なルートを介することになって……
市井から始まる少し不思議で、少し不穏なドキュメンタリー。
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社会の境界線に近づいた経験を描いた作品。
そこで行われたことが正しいか間違っているかは、この際関係ない。後者であったとして、作者も読者もどうしようもない。
これは日常の陰にあたるのだろう。ある意味ありふれた光景ですらある。
ただ……読んだ人に薄気味悪い印象を与えるのは確かだ。
それは自分が将来的にコレに関わることになるのではないか、という予感を覚えるからなのか――