第2話 明彦の職業は理解できんわ!2
🔴こくら物語 Ⅱ
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第13話 原田先生!どうしちゃったんですか!
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🔴こくら物語 Ⅲ
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しかし、アメリカ、欧州、ロシアなどは国外で低緯度地域にロケット発射場を持っている。アメリカならばマーシャル諸島のクワジェリン環礁、欧州ならばフランス領ギアナのクールー宇宙センター、ロシアならばカザフスタンのバイコヌール宇宙基地がそうだ。
ならば、日本も海外の低緯度地域にロケット発射場を持てばいい!と私は思った。上司にもこのアイデアはどうだ?と相談したが、日本はアメリカ、欧州、ロシアではない、日本にロケット発射場を租借させてくれる国家がどこにある?と言われて握りつぶされた。確かにそうだろう。第二次大戦で海外領土を失った日本とアメリカ、欧州、ロシアでは話が違う。
数年、このアイデアは忘れていた。しかし、スリランカが2022年に経済危機に陥り、国家破産を宣言したというニュースでアイデアを思い出した。スリランカの経済危機は、観光客減少での外資収入の激減と中国の一帯一路政策に賛同しての債務の罠に陥ったせいだ。そのおかげで、スリランカ南部の良港ハンバントタ港は中国に99年の租借をされてしまった。港近くのハンバントタ国際空港は世界で最も閑散とした空港として有名だ。
ハンバントタ国際空港だ!と私は思った。
日本はロケット発射場を国外に持たない。しかし、南北回帰線内の国外の低緯度にあるロケット発射場を持てば、種子島などよりも利点は多い。例えば、スリランカのハンバントタ国際空港をロケット発射場に転用した場合、東方には陸地がなく、東向きの発射に有利だ。日本のハンバントタ国際空港の租借、ロケット発射場への転用は十分に可能生があると考えた。
また、ハンバントタ港が債務の罠で99年間中国企業の租借されているが、ハンバントタ国際空港をロケット発射場に転用したら数兆円規模のプロジェクトになる。スリランカ政府にとっても外貨収入が増え、建築工事での雇用も増えるではないか?と。
ハンバントタ国際空港なら既存空港なので、滑走路などの土木工事は済んでいる。発射場の土木工事の追加でロケットを飛ばせる。まったくの新規から建設する必要はない。しかも、東側に広大なインド洋が広がっており、安全な東向き打ち上げが可能だ。おまけにスリランカはサイクロンが毎年襲来するインド東海岸やバングラディッシュと違い、サイクロンはほとんどこない。さらに、空港はいま利用率が低く、政府の多大な経済的に負担になっている。小国なのにコロンボ国際空港以外に国際空港は要らないだろう?
ただし、日本が発射場を建設するには、スリランカ政府の合意が必要だが、中国の影響下にある地域での大規模インフラ投資は外交的な摩擦を招く可能性が高い。スリランカ側が日本に租借を認めた場合でも、中国が圧力をかける可能性がある。
だが、逆に、スリランカが中国の影響を弱めたいと考えるなら、日本の参入に前向きな可能性もある。
可能生評価として、代替案も考えた。例えば、インドネシア(ビアク島)、フィリピン(バシラン島)、太平洋の島嶼国家のキリバスだ。だが、日本の友好国(インドネシア・フィリピン・キリバス)ではあるが、三ヶ国ともスリランカと同等、いやそれ以上に中国との外交問題を抱えている。
もしも、スリランカのロケット発射場を民間衛星市場に限定し、新興国向け宇宙開発支援なども行うことを考慮すると、スリランカの優位性が高まるのではないか?と思った。インドネシア・フィリピン・キリバスに日本が国外ロケット発射場を持つとしたら、中国はスリランカ以上に警戒するはずである。
さらに、中国の警戒を避けるため、以下の戦略が有効かもしれない。
(1) 国際機関(UNDP, UNIDO, ICAO)を活用
「新興国向け宇宙開発支援」という枠組みを強調し、日本・中国の対立ではなく、国際貢献として位置づける。中国もUNDPやICAO(国際民間航空機関)の一員であり、協力に前向きになれる。
(2) 商業宇宙港としての立場を明確にする
軍事利用を排除し、純粋な民間衛星打ち上げ施設にする。中国の長征ロケット、三菱重工のH3ロケット、スペースXのファルコン9など、あらゆる企業が利用できる国際宇宙港とする。
(3) 日中共同プロジェクトとしての可能性
ハンバントタ港はすでに中国が管理しているため、日本単独で関与すると中国が反発する可能性が高い。
だんだんと考えがまとまってきた。私は個人的につてを頼って、UNDPの日本駐在員やJICAに私のレポートを提出した。彼らも乗ってきた。国家破産している国を救済し、平和目的で日中スリ、その他の国々の相乗りで、低緯度地域に安価でロケット発射場が設置できるのだ。
JAXAの上司にも相談した。私のレポートを読んで、可能生がゼロじゃない、というのを納得してもらった。第一、ハンバントタ宇宙センターなんてのができたら、JAXAが利用できるじゃないか!上司はこのレポートを上申してくれた。
JAXAは、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省の四省庁が共同して所管しているが、私のレポートが内閣府と文部科学省まで上がり、内閣府のトップの内閣官房長官、文科省大臣も前向きに検討するとのお墨付きを得た。それで、私はJAXAの職員で、かつ、出向の身でUNDPの南アジア担当技官を任命された。
私は種子島宇宙センターでの報告義務を終えた。有給休暇を取った。
種子島空港から小倉駅に移動した。
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「・・・と、こういう経緯なんだよ、直美、ミキちゃん」
「ミキには明彦の職業は理解できんわ!数兆円規模のプロジェクト?宇宙センターをスリランカに作る?信じられん!ミキと世界が違うわ!」
「ミキちゃん、私とミキちゃん、直美の世界は同じだよ」
「だってさ、だってさ、明彦がマレーシアで数百億円、政府から巻き上げ・・・」
「巻き上げる、じゃないよ、ロケット発射場への政府出資とマレーシア国立宇宙局との提携の話だよ。今は、新興国も自国開発の通信衛星を打ち上げたいと思っていて、それをJAXAのH3ロケットでスリランカから打ち上げるのはどうだろう?種子島よりも打ち上げ費用が安くなるし、各国の民間企業のロケットの打ち上げ費用で投資の分配金がだせますよ、というビジネスの話だよ」
「・・・じゃあ、ビジネスの話でもいいけど、私たちだって、美術品ビジネスを一生懸命やっていて、それが、私なんか、全裸にされて、画伯に犯されそうになったんだよ!」
「画伯に犯される・・・何をキミたちはしていたんだい?」
「ミキちゃん、脈絡なく説明しても明彦はわからないでしょ?え~っとね、つまり大阪で別れてからこういうことがあったのよ・・・」とこれも長い話を直美が説明し始めた。
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