空白に舟を浮かべろ!
SB亭moya
プロローグ 楽園の聖
「おはよう! こんにちはこんばんは。
今そっち側の時間帯が判らないから、思いつく挨拶を全部言ってみたよ。
初めまして。宇宙飛行士のライトですそして……こっちが」
「リードです。よろしくお願いします」
「そっち側の時間は判らないって言ったけど、実はこっち側も同じで、今が何時か判らないんだ。
というのも、貴方が今見ている景色と同じ景色が、こっち側では広がっているよ。どこまでもずっと真っ白なんだ。
真っ白な背景に、黒い文字が浮かんでいるのが見えるよね?
ここではそちらが感じているような色もなければ、音もない。
僕たちは、空白の宙に浮かんでいる文字だけで、それらを感じることしかできないんだ。
だから結構、苦労も多くて……」
「心中お察しします。コーヒーを淹れましたよ」
「お、ありがとう。でも、こんな世界でもちゃあんとコーヒーを飲めるんだ。ゴクゴクゴク」
ゴロゴロゴロゴロ……
「……?」
「それはコーヒーの豆の音ですね」
「ゲホゲホ!! ま、豆だけ入れたのかい!? 挽いてないのかい!? じゃあコーヒーじゃないじゃないか!! オエ! ゲホゲホ!」
「じゃあ、これはなんですか?」
「イヂメな、ウベ」
「吐き出さないでください。ばっちい」
「ウべべべ! ぺ! ……大変お見苦しいところを見せてしまいました。えっと……ソレで……これを読んでいる貴方にお願いがあって来ました。大事なことだから、ちゃんと聞いてね。
僕らは、この白と黒しかない世界を旅しないといけないんだ」
「とても危険で、困難であると予想されます」
「見たこともない世界を旅する訳だからね。ある種『謎解き』みたいなこともしなければならないかもしれない。
そこで……貴方には一緒に考えてほしいんだ。そして、もし答えが解ったり、何か気がつく事があったら遠慮しないで『発言』してほしいんだよね」
「わかりやすくいうと、コメント欄に答えを書いても良いという意味です。全員で、この旅から生還しましょう」
「うわー全部言ったね……。でもそういうことです。もっというと、難しいなら一人で解こうとしないで、何というか……他の人と協力して欲しいんだ」
「逆に、自分で解きたい方は、コメント欄は見ないことを推奨いたします」
「さて! それじゃあ前代未聞、白と黒、二進法、『有る』か『無い』かしか無い世界の大冒険に、いざ出発だ!!」
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