第五章 光の声

――夢は、未来の片鱗を見せることがある。


夜の研究棟。

透香は、眠気に負けるように机に突っ伏した。

長い一日だった。


まぶたの裏で、光が揺れた。

それはただの幻覚だと思った。

けれど――


見たことのない光景が広がった。

白い海。

その中央で、誰かが立っている様に感じる。

形は曖昧だが、女性のように見えた。

まるで光の流れの様な、眩しいが暖かい存在を感じた。

彼女は遠くを見つめている。


「……朱莉?」


声にならない声が響く。

だが、応えはない。

ただ、微かに光が揺れた気がした。


――“進め。”


その瞬間、透香は息を飲んで目を覚ました。

「……夢、か。」

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