ゴブリンに転生したら群れの中に明らか主人公ぽい転生者がいたのでそいつを隠れ蓑に好き勝手やらせてもらう
珊瑚狂魚
第1章 転生と進化
1話 プロローグ
「グギャー!グギャー!」
なんだこの声はうるせぇな。まるで化け物が泣いているみたいな汚い声だ。あぁ?なんかこの声俺から出てないか?
すげえ眩しい深夜に間違えて起きた時スマホで時間を確認しようとしたら画面の明るさマックスで直視しちまった時に似ている。
だけど段々と慣れて来た視界がハッキリしてきたとき俺の目に1番に飛び込んできたのは・・・
緑色の肌をした薄汚い化け物だった
「ギャーー―!!」
やっぱりこの汚い声は俺のだったのか・・その思考を最後に俺は余りの衝撃で気絶してしまった。
衝撃の誕生から早1ヶ月、俺は今自分が置かれている状況を大体把握し終えた。
どうやら俺は異世界のゴブリンに転生してしまったらしい。何でこんな事が直ぐに分かったって?
それはな俺が超ラノベ好きだからだよ!
元々暇つぶしにはショート動画をバカみたいな顔しながら眺めてたんだけどよ、こんな時間の使い方余りにも無為すぎる。
だから試しにラノベ読んでみたらこれがチョー面白いわけ。
それでどっぷりハマっちまった俺が異世界に転生してやることと言ったら一つだよな。
「ㇲでータず!」
〈ステータス〉
Name ジル=ゴタ
ゴブリン Runk H
Lv 1/10
Job ノービス Lv 1/10
Skill 【鑑定】【闘気】
ちゃんと出てきてくれて助かったー。作品によってはステータスが無くて恥ずかしい思いをするやつもあるからな。
それにしても鑑定キターー!転生物の定番中の定番じゃん。
うきうき気分で早速仲間のゴブリンを片っ端から鑑定して回った結果こんな奴を見つけてしまった。
〈ステータス〉
Name ユーゴ=ゴタ
ゴブリン Runk H
Lv1/10
USkill 【勇者】【異空庫】
Skill 【剣】
あーあ絶対これ俺と同じ転生者じゃん。USkillって恐らくユニークスキルだろ?それに勇者って俺はこの世界の主人公じゃなかったんだー・・
いやまだ可能性はある突然変異の激強ゴブリンの可能性がま・・・
「すテーダス!」
はい確定!こいつみんなの目の前でステータスって言いやがった俺も含めて他のゴブリン達の注目を一手に集めてやがる。
俺は一応周りに誰もいないことを確認してこっそりやったよ?
興奮したようにステータスを眺めた後みんなにステータスの事を教え初めた。
今大人のゴブリンが総出で狩りに行ってて良かったなそんな奇妙なことしてるとこ見られたら絶対殴りかかって来たぞあいつら。
ああ・・ついに俺の所まで来てしまった。
他の奴らの反応を見てたので俺も真似して転生者だとバレないようにしよう、正直俺があっちの立場だったら同じ転生者はいらないからな殺されちゃたまらん。
「オイ、オマえ、すテーダスってイエ」
結構上から来る感じだ・・
これホントに転生者ってばれたら殺されるんじゃね?仕方ないので指示に従うことにする
「ㇲでータず・・」
ビクッと反応した後、口を開けてアホ面で待機
「オイ、ユニーぐスぎル、ってあるカ?」
「ナンだ、ゾれ?」
はい!ここ!ここです普通のゴブリンはユニークスキルなんて知りません他の奴らのステータスにもそんな記載はなかったからね。ここテストに出ますよ。
「ジャあ、すきる、ナンだ」
「トうき」
「そうガ、オマエは、のうキん、ダいぷか」
「のうギん?ダいぷ?」
「なんデモない」
こいつ俺が何も知らないと思って平然と悪口を!けどぉ殺されたくないから知らないふりしてあげるぅ。
まぢ覚えとけよーお前にしかユニークスキルが無いように俺にも他の奴らには無い物があるんだよー。それはジョブだ。
それが育っちまえばきっとお前を殺しうる牙となる。いわば俺の能力は大器晩成型だ。
あいつは全員のステータスを確認した後、自分以外にユニークスキル持ちが居ないことに満足したようにうなずいて俺らに声をかけた。
「おドなたち、が、かえって、ぐㇽまで、おドなジく、まっとげ」
けっもう群れを率いるリーダー気取りかよ。まあ指示に不満は無いし歯向かえば立場が悪くなりそうなんで大人しく従いますけどね。
side ユーゴ
ニヤニヤが止まらないよゴブリンに転生したときは余りの不幸に絶望したけどやっぱり僕がこの世界の主人公だったんだ。
でもさっきのはやり過ぎたかな?ユニークスキルを僕以外に持ってる奴がいないことに興奮しすぎて、ちょっと言葉が強くなっちゃった。
でも良いよねだって僕がこの世界の主人公なんだから。みんな仲間だから大事にしたいけど所詮ゴブリンだから、きっとこの世界に僕にふさわしい仲間がいるはず。
そうだ!異世界と言えばハーレムでしょやっぱり居るのかな?女騎士とかエルフや獣人も。どうせだったら全部コンプリートしてみんなとエッチな事を・・グフッ。
いけないいけない取り敢えずこんな居住環境じゃハーレムなんてできっこない。内政チートのために色んな事を調べておいたけどこんな状況じゃ使えるはずもない。
まあ生産系のスキルを持ってたやつもいたからそいつらをうまく使えば今よりはもっといい生活ができるはず僕がみんなを導いてあげないとね。
何より僕がもっと強くならなきゃダメでしょいくら勇者でも女の子は好きになってくれないからね。
そうだなハーレムができるくらい強くなったらもっと大きな事をしても良いかもな例えば
「世界征服とか・・・」
side ジル
「世界征服とか・・・」
やっべーーーー!やばい事聞いちゃった!
こいつ上の空だったからバレんやろと思ってこっそり後着けてたらぶつぶつ独り言、言い始めて盗み聞きするとやれハーレムやらエルフやら導くとか・・
ゴブリンの声じゃ良く分からなかったけどそんな事言ってた気がする。けどよ何で最後の言葉だけあんなハッキリと聞こえんだよ。
なんか声も全然違ったし、もしかして前世の声がひょっこりはんしちゃったのかな!?
それにしても世界征服ってマジかよ俺らは特別な力持ってるけど所詮前世は日本に住む一般人だぞ。
そんな人間が世界征服って部不相応すぎるだろ。てかこんな小さなコミュニティに転生者二人もいんだから世界見れば結構いるぞ多分。
そっか・・・こいつ気づいてないんだわ俺だってお前見るまではこの世界の主人公は俺だと思ってたし、しょうがないか。
なんかすごくおもs・・じゃなく哀れに思えてきた。
死ぬなら一人で死んでくれや。まあ勇者が簡単にくたばるとは思えないから暫く着いて行っておいしい所はいただく寄生虫させていただこ。
俺らのこと多少は仲間だと思ってるみたいだしちょっとぐらい好き勝手しても怒られないだろ。
とにもかくにもレベルを上げないとな10レベルまで行けば恐らく進化が待ってるこんなぶちゃいくな体とは早くおさらばしたいぜジョブもあることだしな!
早く狩り行きてー!
__________________________________________
大人達が帰ってこないもう3日目だいつもなら遅くとも夜明けには帰って来ていたはず。
そういえば大人が全員で狩りに行くのだって初めてだったんだ、もしかしてあいつら強いモンスターに挑みに行って全滅したか?
よし!待ってても埒が明かないもう俺たちで狩りに行ってしまおう。一応ユーグに声を掛けないとな将来のボスはあいつなんだから。
「ユーグ!オトナ、カエッデ、コナイ、モウ、ごハン、ナイ」
「わがってる、みんな、アツメテ、がリ、いグ」
んーパーフェクト!あくまで発起人はユーグでないとヨッ未来の世界征服者!
ユーグが皆を集めて指示を出す誰も文句を言わないのはステータスの時に皆こいつに異質さを感じたからだ。だが本能は別・・
「みんな、5ひきに、わかれて、かりにいく、そのなかで、いちばん、えらいやつ、きめろ」
此処にいるゴブリンの数は20匹5匹ずつ別れてその中でリーダーを決めるのは妥当だがここで問題が起きる。この中に4匹のメスゴブリンが居るのだ。
ゴブリンはやはりこの世界でも性欲魔物。雌ならばどんな生き物でも大人気。加えて丁度ハーレムパーティーにできる。これを普通のゴブリン達が逃すはずがない。
「「「おれ、めす、と、くむ、」」」
「「おれだ!」」
有象無象が喚きだす俺はまだ動かんユーゴの様子を伺うどうせこいつが望んだらどうあがいてもそうなる。
やっぱりゴブリンはゴブリンだなー・・心では勝てないと思っても本能には抗えない。
ユーゴの様子を見てもメスゴブリンを欲してるようには見えない。そりゃそうだよな元人間がゴブリンのメスに欲情できるとは思えない。
それは俺も一緒だ・・・けど俺はこの争いに加わらなければならない・・
だって俺以外のゴブリンはみんな欲しがってんだもんここで行かなかったら余計な疑いを持たれる。
それにゴブリン内でこのような争いが起きた時に決める方法は殴り合いだ。
女を取り合って殴り合いなんて前世ではできなかった事だせっかく異世界に来たんだこんな面白そうなこと逃してたまるか。
「おれが、めす、もらう」
先程まで騒いでいたゴブリン達は一斉に黙りだす。こいつらは俺と争っても勝てないことに本能で気が付いている、なぜなら俺が一番デカいからだ!
通常のゴブリンのタッパはおよそ100㎝それに比べて俺の身長は110ほどある。
小さい差かと思うかもしれないが自然界においてほとんどがでかさは強さに結びついている。
今本能で争っているこいつらは本能で負けを認めてしまっているからもう逆らえない。
ユーグの異質さより俺のでかさの方が優先されたのだ。今の状態で俺と争える奴は本能に抗える心の強い奴か俺と並ぶでかい奴か・・
「なら、なぐりあいだ」
ほら来た。こいつは俺には及ばないが有象無象よりはでかい確か名前はー・・・今鑑定しちゃうか!
〈ステータス〉
Name ダグ=ゴタ
ゴブリン Runk H
Lv 1/10
Skill 【棍棒】【不屈】
そうそうダグだ珍しく二つのスキルを持ってる奴だった。多くの者がスキルを一つしか持ってないから忘れないと思ってたんだけどな。じゃあ早速始めるぞ!
「ユーグ、あいず、だせ」
「ころすな、はじめ!」
合図と共にお互いが距離を縮める。所詮獣の喧嘩、現代格闘技の様な探り合いなど存在しない初っ端からフルスロットルの超至近距離での打撃戦。
通信教育の大陸拳法を習ってた俺に勝てると思うなよ!この場じゃそんな業ユーグが見てるから使えないんだけどね!
距離が十分に縮まり俺の攻撃が届くレンジに入った。若干俺の方がリーチが長く闘気があるおかげでパワーですら上回っている俺が負けるわけねえが!
リーチを生かし一方的に殴り続ける。威力よりスピード重視、闘気のお陰で軽く打っても十分な威力がある。
しかしユーグの手前コンパクトな打撃で制圧するわけにもいかないのでほとんどが大ぶりのパンチだ。
ダグは腑抜けた大ぶり右ストレートをダッキングし距離を詰めようとするがそれは囮、すぐに引き戻しその反動を生かした左脚のローキックを喰らわせその場に留まらせる。
相手の膝を踏みつけるように攻撃したから動きたくても動けないはずだ。確かこの蹴り方は禁止されている団体もあったはず。この世界では誰も咎めてはくれないぜ!
暫くそのような展開が続きダグはほとんど動けていない。この後狩りを控えてるからもう終わらせなきゃな。
こいつも今や貴重な戦力、立つ鳥跡を濁さず、落ちるゴブリン後遺症残さず。
周りを囲んで見物しているゴブリンの元まで吹き飛ばしてやれば勝負はつくだろう。
右足で半歩間合いを詰め踏みしめた足を軸に軽く軽ーくジャンプするのと同時に左膝を胸まで引き着地と同時に三日月蹴り。
綺麗に入りダグは背後のゴブリンまで吹き飛ばされた。
支えられ立つダグの瞳には未だに闘志の炎が燃え上がっており今にも跳びかかってきそうだったが
「ジル、の、かちだ。おんな、は、ジル、のもの」
その言葉を聞きダグは拳を収めた。俺は勝者の報酬として4匹のメスゴブリンを抱き寄せ周りにアピールする。
ゴブリン達の嫉妬の視線が心地いい。ユーグの顔は理解できないとばかりに少しひきつっている。
確かにこいつらは見ていられるもんじゃないがあの激闘の報酬だと思うと少しばかりかわいく・・かわいく・・・うん、思える。
次は待ちに待った狩りの時間だ。できれば進化までもっていきたいがユーグたちのペースを見ないとな。あいつより早く進化するわけにはいかない。
____________________________________________
あとがき
〈ステータス〉
Name ジル=ゴタ
ゴブリン Runk H
Lv 1/10
Job ノービス Lv 1/10
Skill 【鑑定】【闘気】
〈ステータス〉
Name ユーゴ=ゴタ
ゴブリン Runk H
Lv 1/10
USkill 【勇者】【異空庫】
Skill 【剣】
〈ステータス〉
Name ダグ=ゴタ
ゴブリン Runk H
Lv 1/10
Skill 【棍棒】【不屈】
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