『朝』

猫墨海月

『浅』

朝起きた。

学校へ行った。

それだけの事だったのに、何故かどうしようもない悲しさに襲われた。


朝起きた。

電車から降りた。

学校へ行った。

昨日の悲しさが、ただ分からなかった。それだけでまた、明日を望んだ。


朝起きた。

電車から快晴の空を眺めた。

改札を抜けた。

学校へ行った。

教室で聞いたチャイムの音が、今日はどうも苦手だった。だけども、


朝起きた。

電車に乗った。

今日の空は曇天だった。

改札でICカードを翳した。

学校へ行った。

息切れしそうな程長い階段を上りきった時の感情は、達成感か、それとも。


朝起きた。

家を出た。

電車に乗った。

イヤホンから流れる音楽は、私にしか届くことがなかった。

改札の外から電子板を見た。

学校へ行った。

乱雑に出された消しゴムが、跳ね詰まって地面に落ちた。


朝起きた。

朝食を摂り、

家を出た。

電車に乗った。

握った手すりは冷たかった。

改札を抜けなかった。



改札を抜けた。

学校へ行った。

味のしない水を飲んだみたいな、そんな感覚がした。


アラームを止めて、

朝起きた。

朝食は食べなかった。

電車に乗った。

ニュースはどれもつまらなかった。

改札を抜けた。

学校へ行った。


アラームを止めた。

朝起きた。

朝食を食べた。

家を出た。

電車に乗った。

明日の天気は晴れだった。

改札を抜けた。

階段を登った。

教室へ行った。


アラームを止める。

アラームを止めた。

朝起きた。

悲しさの正体を、掴んだ気がする。

朝食を食べた。

家を出た。

電車に乗った。

改札を抜けた。

道を歩いた。

学校へ行った。


アラームが鳴る。

アラームを止めて、

朝起きた。

寝起きの薄らいだ意識に、寂しさを覚えた。

朝食を食べた。

靴を履いて、

家を出た。

電車に乗った。

改札を抜けた。

道を歩いた。

階段を登る足が重かった。

学校へ行った。


家に帰った。

スマホを手にした。

昨日の天気を調べた。

それは、雨だった。

外からは雨が窓を叩く音が聞こえた。

耐え難いソレに、目を閉ざした。

ニュースになっている隕石を見た。

隕石の落下予定は だそうだ。

 が来なければいいと、 思った。

それでも訪れる という に、

ま 、息 たくなると っ まった。

私は れ を望ん  た。

 の現実の は  でしか かった!

薄  く に がし 。

 た が   まう。

    度    で  い 思  。

  。

最後の最後まで、願いは叶わなかった。




アラームが鳴った。


アラームが鳴った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『朝』 猫墨海月 @nekosumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ