人類比地球論
@satoka2
人類比地球論
春
寒さに耐えた労いを
薄紅色の花弁に乗せて
香りと温もりでこれから来る
出会いと別れの季節を彩る地
風情を消すには充分過ぎる青の敷物を
所狭しと広げ
情緒も何もない飲めや歌えの大騒ぎ
いき過ぎ終いに
花弁の上にも構わず
嘔吐の始末のそれ
夏
その燃えたぎる陽で
熱い情熱を更に熱く
ほとばしる青春を
これ以上ない輝きで照らし
人生のかけがえのない糧を
より鮮明に刻み込んでくれる地
危険だ何だと理由つけ
冷房という安息の地に引きこもり
そのうえ氷菓子を平らげ「寒い」と一言
翌日風邪引き
目も当てられずのそれ
秋
金木犀の優しい香りを風に乗せ
草花たちの衣替え
これから来る寒さへの警鐘と準備の時間を
装い新たに知らせてくれる地
催し物が足りないと
アイデンティティを代償に
異国の文化を猿真似し
由来も感謝もドブに捨て
毎年事件を起こすそれ
冬
人のそれらを白粒に変え
全てを許し白紙に戻すかのような
一面の銀世界
いつもの景色も
この時ばかりは特別に見させてくれる地
ここぞとばかりに資源乱用
地の悲鳴や異変に知らぬ顔
誰かがきっと、自分1人じゃ何も変わらない
出てくる言い訳星の数
流星群も夢ではない
それ
それでもそれらを見捨てぬ地
はたまた
すでに呆れ果てているのでしょうか
怖くて聞けぬ———私もそれら
人類比地球論 @satoka2
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