子供の頃
わさび醤油
子供の頃
これは、私が祖父の家で、父と母と祖父の四人で住んでいたときの話です。
私が小学三年生のころ、祖母は病気でなくなりました。そのため、祖父一人では寂しいだろうと考え家族全員で引っ越すことに決めました。祖父の家は薄暗く、少し不気味で私はあまり好きではありませんでした。しばらく経つと、不気味さはあるものの少し慣れ、家を気にいるくらいになりました。
ある夏の日のことです。私は家の裏にある倉庫に入りました。そこはずっと祖父に入っていけないと言われていた場所です。ですが、子供心というのは本当に探究心の塊で私はその忠告を無視して入ってしまいました。中は埃がたまっており、何年も放置していたことがわかります。私は一つ気になる箱を見つけました。気になるといっても、特別その箱だけが派手だったということではありません。何の変哲もない箱でした。その箱に吸い寄せられた感じです。私はその箱を開けました。中には何も入っておらず、がっかりした気分になりました。そのまま、、前に2、3歩進んだところでパキッと音がしました。気付かずに何か棒のようなものを折ってしまったようです。そのとき、外から祖父が私を探している声が聞こえたので、その日はひとまず家に戻りました。
次の日のことです。私と同い年くらいの女の子と男の子が家の前に姿を現しました。みたことがなく、全く知らない子供でした。住んでいたところはどがつくほどの田舎だったので町の人は皆顔見知りだったのですが、本当に見たことがない子達でした。ですが、子供というもの、すぐに打ち解けしばらくの間はその子達と遊びました。
また別の日、私は倉庫を覗きに行きました。前に折ってしまったのはなんだったのか確認しておきたかったんでしょう。ものを壊したと親に見つかってしまったら怒られてしまうと私は思っていました。倉庫の前で、「おーい」と呼ぶ声がしました。そこには祖父と同じくらいの歳の男性が立っていてこちらを見て手招きをしていました。私は声の方へ吸い寄せられるかのように足が前に進んでいました。前に進むほど、男性以外の人の姿も現れてきました。「ご飯よ」母の声で我に返り、早足で家に戻りました。あれはなんだったのだろうか、当時の私はあまり深読みはせず、祖父の友達か程度に思っていました。
「遊ぼ」私はいつものように二人と遊びました。三人で川へ遊びに行きました。数時間は何もなく水をかけ合ったりして遊んでいました。そこで私は足を滑らせてしまい、川に流されました。そのときです。二人がこの世のものではないということがわかりました。私が流されているところを見ながら、不気味な顔でにやにやと笑っていました。そしてよく見たら、その二人には足がなかったのです。私はそこで気を失いました。気づいたら家の布団で横になっていました。親、祖父が心配そうにこちらを見つめていました。祖父がなかなか帰ってこない私を心配して見にきたとき、気を失いながら水に流されている私を発見したらしいです。
私は正直に今までのことを話しました。三人は私を責めることなく聞いてくれました。倉庫のことも話しました。それは少し怒られました。
あとから聞いた話ですが、あの倉庫で私が折ってしまったものは祠の一部だったそうです。昔、あの一帯が火事で全て燃えてしまい大勢の人がなくなりました。そして、その人たちを供養するためにたてたのがその祠だったようです。両親は私がずっと一人で喋っていたので変だなと思っていたらしいです。あの日遊んでいた子達は、倉庫の前で手招きしていた人たちは、今思えばゾッとします。
「おーい」「また遊ぼ」
今でもあの声は鮮明に覚えています。
子供の頃 わさび醤油 @ss_oo
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