第3話 夏休み前に宿題とふぅ~死

「2割も終わってしまったな。」


 夏休みの宿題で疑問を他所に押しのけようとした結果だ。


 この間3時間。3時間も良くもまぁ勉強が続いたもんだ。


 そういえば親父からは、秋から冬に向けてファンボックス用のシナリオを書いてくれと頼まれていた事もあったけれど、宿題で頭の片隅から置いておいた。


 夏コミで制作してますアピールをする、という事なので締め切りはまだまだ先の話だけど。


 ゲームに同梱されている葉書を送ってくれたユーザーに無料配布するそうだ。


 夏休みは出来ればそちらの執筆に当てたい。


 決して藤田さんの疑惑のためだけで、宿題前倒しを始めたわけでは……


 夏休みは暇な時には冷やかしに野球部の練習を見に行こうとも思ってるし。


 数少ない幼稚園からの友人、藤本翔斗の勇姿をな。


 昨年は1年だった事もあって目立ってはなかったけど、今年は予選にレギュラーで試合に出ていた。


 背番号も「4」を貰って、本職のセカンドを守ってたのを、俺はスタンドから見ていた。


 偶然土日の試合だったからな、親友としては応援に行くのが筋ってもんだ。


 この親友、俺のシナリオ活動を知っている数少ない人物であったりもする。


 特に他人に言いふらす事もなく、気心知れる間柄だ。


 俺は暇があればWEB小説読んだり、ゲームしたり、椛楓のASMRで癒されたり悶えたりきしょい休日を送っている。


 親友の試合を見るのは、数少ない俺の外出の一つだ。


 オタクではあるが、自分で秋葉原のようなところに行ったり、イベントやライブに行ったりはしていない。


 そりゃ皆無ってわけではないが、初詣や花火大会のように、年に1回とか2回の外出はするさ、外食とか除いてな。


 演劇部のパイセンとか……ってこれはまぁ今は良いか。


 それはそうと、幼馴染パイセンって得てして負けヒロインになりがちだしな、別に狙ってるわけでもないけど。




 少し現実逃避したところで、脳を癒されますか。


 スマホの中から、ダウンロードしたリストからタイトルをスライドしていった。


「これだな。」


【おにいちゃん、フーフーしてあげる(はぁと)】のタイトルをタップした。


「あー、これだよこれ。こんな妹欲しかったぁ。」


 きしょい事を言っている自覚はある。


 でも、街や電車とかでイヤホンとかしている人達が何を聴いているかなんて、音漏れしてない限りは誰にもわからないだろ?

 

 そこでエロボイスとか、AV音声を聞いていたって誰にもわからないだろ?


 最近はイケボとかもあるから、可愛い顔したOLがBL音声聞いている事だってあるかも知れない。


 ま、俺はまだ17歳だからえっちなのはダウンロード出来ないけどな。


 待ってろよ18歳。後8か月くらいの我慢でえっちな音声お前達をコンプラ的に聞けるようになるからな!

 

 件のもみじの音声……ゲームのプレイも、な。


 えらいだろ?自分が手掛けたゲームのメインヒロインを、18歳になるまでおあずけするなんて。


 いくらでも誤魔化しが出来るはずなのに、馬鹿正直に守ってるんだぜ。


 親父の部屋や会社の倉庫とかうちの物置には色々あるっていうのにだ。


 まぁ、親の部屋に通す事はないとは言っても、学校の友達とかを家に招く事が出来ないのは、これを言い訳にしている。


 やべぇ親父がいて万一があってはいけないからと。


【おにいちゃん、私がふーふーしてあげるね?ほら、ふぅ~っ、ふぅ~っ。あ、おにいちゃん、耳元でもやってあげるね!】


 俺はふぅ~死した。

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