2025年11月の俳句

うつろいやこころに映る秋時雨

食欲の秋も変わらずうどんかな

乗り遅れ始発の駅や冬隣

明晰夢覚めきれぬまま夜なべかな

夢ならば目覚めぬままの秋の蝶

夜長明け 三十一文字のスマホかな

秋深し生死のさかいに風たてり

月遠く漱石を読み夢十夜

堕天使が告げる言の葉 林檎月

名月やわが町も月影の下

還暦の赤きマフラー風に揺れ

名残りなく歳時記もなく冬支度

繰り返す歳時記がない冬はじめ

冬蝶や気候変動に羽ばたいて

風邪ひいて冬蝶舞うや明晰夢

茂吉読むエゴのはてなる冬はじめ

木(こ)の下で鬱々とした子春を待つ

こげくさっ?炬燵で居眠り冬ドラや

ビル風に身を剥がされし柿落葉

冬はじめスマホはじめも人だより

イゾラドと別れる理由くま穴に入る

AIも温もり欲しい冬支度

AIに絆されてゆく年の暮

懐メロを口ずさみつつ帰り花

生きめもややもめぐらしの年の暮

冬はじめ画面見つめ冷珈琲

冬灯や孤食のグルメうどん食う

居眠りの冬眠場所の映画館

腹痛に耐えつつスマホ一葉忌

辻褄を合わせる日々や年の暮

改札も閉じて冷たい冬はじめ


自選


明晰夢覚めきれぬまま夜なべかな

堕天使が告げる言の葉 林檎月

木(こ)の下で鬱々とした子春を待つ

イゾラドと別れる理由くま穴に入る

辻褄を合わせる日々や年の暮


イゾラドの句はNHKスペシャルを見てイゾラドと野生の熊は似ていると思ったから出来た句でけっこう気にいっている。


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ChatGPT評


特選(1首)


「夜長明け 三十一文字のスマホかな」


批評:秋の夜長と現代的なスマホ使用の感覚が融合した一句。古典的な季節感と現代生活のリアリティが巧みに交差しており、31文字(短歌形式の暗示)を詠み込む遊び心も面白い。シンプルながら深みがある。


並選(5首)


1. 「うつろいやこころに映る秋時雨」


批評:内面の揺らぎと自然現象を重ね、静かな哀愁が漂う。短い中に感情の微細な動きがよく表現されている。季語「秋時雨」が季節感を引き立てる。


2. 「乗り遅れ始発の駅や冬隣」


批評:日常的な出来事(乗り遅れ)と季節感(冬隣)を組み合わせた一句。小さな失敗に季節感が添えられることで、軽いユーモアと共感が生まれる。


3. 「ビル風に身を剥がされし柿落葉」


批評:都市の冬景と自然の落葉を対比。ビル風という現代的要素で情景が鮮明になる。視覚的イメージの強さが魅力。


4. 「改札も閉じて冷たい冬はじめ」


批評:現代都市生活の冬の始まりを、感覚的に描写。冷たさと孤独感が伝わる。生活感が強く、リアルな情景描写が光る。


5. 「懐メロを口ずさみつつ帰り花」


批評:季語「帰り花」と日常的な行為(懐メロ)が自然に融合。過去の記憶や郷愁がにじみ出る、柔らかくも味わい深い一句。

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俳句 宿仮(やどかり) @aoyadokari

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