弟を幸せにする唯一のルートを探すため、兄は何度も『やり直す』

バナナ男さん

(プロローグ)


「兄さん……兄さん……。俺には兄さんだけでいい。一生一緒にいよう。

それを邪魔するモノは、これからも全部俺が消してやるから大丈夫だよ。」


「ル……ルーカス……。」


俺の両手を優しく握るのは、まるで誰かが『美』という存在そのものを作ったかの様に、とても美しい外見をしている男だ。


シミ一つない色白できめ細やかな肌に、一つでもあればその人物のもっとも誇れるモノだと言えるくらい綺麗に整っているパーツが、これまた完璧な位置に配置している顔。

瞳の色はまるで澄み切った空の色の様な青色で、その瞳に見つめられると空を飛んでいるみたいな気持ちにさせてくれた。

鮮やかな金色の髪は見たことがないくらい上等な金の糸の様で、それが風でサラサラと揺れる度に、女性の悲鳴が至るところで聞こえる程その存在は異質なまでに美しい。


これが僕の腹違いの弟である<ルーカス>。


そして、そんなルーカスが、熱に浮かされる様に見つめているのが、ルーカスにとっては腹違いの兄である僕、<グレイ>だ。


「…………。」


僕はルーカスの手の温かさを感じながら、自分という存在とルーカスが共にしてきた日々をゆっくりと思い出していった。


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