第27話 ウルス獣王国への入国
リルは、リヴァイアサンと別れると、アルリフラ帝国のサンシーへ転移する。
「サシャ、リセ、ウルス獣王国へ行こう。」
「はい。」
「その国に行けば、お父さんとお母さんの手掛かりが掴めるのですか。」
「いや、実際に手掛かりが掴めるとしたら、フォス王国だと思っている。
フォス王国に行くには、ウルス獣王国を通らないといけないからね。」
「わかりました。」
リセが返事する。
「ごめん、サシャ、辛くないかい。」
「大丈夫です。」
サシャが俯く。
「どうしたんですか。」
「サシャはウルス王国出身なんだ。
アゴベイ共和国へ移住するために向かっている途中で、盗賊に襲われ、親と兄を失っているんだ。」
「サシャお姉ちゃん、ごめんなさい。」
「大丈夫よ、リセちゃん。
早くご両親に会いたいよね。」
「うん。」
リセは俯いてしまう。
「ところで、リセ、ウルス王国に入る前に、その亀さんの名前を決めてあげようよ。」
「亀さん?」
「なんてつければいいの。」
「その亀さんはね。リセの味方なんだ。
ずっと一緒にいてくれるよ。
サシャを見てごらん。
肩にプリンがいるだろう。
あれと一緒だよ。」
「そうなの?亀さんは私と一緒にいてくれるの。」
「グエグエ。」
「一緒にいてくれるみたいだね。」
リルがリセに伝える。
「私は一人じゃない。」
「うんうん。
僕もサシャもいるからね。」
「うん。」
「名前は何にする。」
「うーん。グーちゃん。」
「グーちゃんか。良いんじゃない。」
「うん。」
「「グーちゃんよろしくね。」」
「ぷぷぷ。」
「よし、じゃあ今日中にウルス王国に入国するよ。」
リルはウルス獣王国に行ったことがなく転移できない。
適当な馬車が見つからず、歩いて獣王国を目指すが、地中でリセが疲れて寝てしまったので、リルが背負って夕方に何とかウルス獣王国の国境に到着する。
当然、検問があり、入国審査がある。
人族の身なりのリルが、獣人族の幼女二人を連れてきているので、門兵に酷く疑われていた。
「本当に人攫いではないのか?」
「違いますよ。」
リルは考える。
どうしたら疑いが晴れる。
フェンリルの姿に戻るのは本末転倒だ。
そこで妙案を思いつく。
「すみません。実は、私、獣人でして、耳と尻尾を見せれば信じて貰えますか。」
「何?人族にしか見えないが。」
「魔道具を使ってるんですよ。」
といいながら、変身魔法で、耳と尻尾を出す。
「狼獣人か。」
「はい。」
「入っていいぞ。」
「はい。ありがとうございます。
サシャ、リセ、行こう。」
「「はい。」」
無事、ウルス王国に入国できたが、今までのアルリフラ帝国と勝手が違うことに戸惑うのであった。
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