この星を捨てて

天月虹花

第1話

 人間なんてと蔑まれる世界に生きている。

 この世界で一番偉いのは、肉食獣人。その次は草食獣人。最期に人間だ。

 獣人たちを生み出したのは人間なのに、その人間を蔑むとは良いご身分である。事実、良いご身分だが。政治の中心はほぼ獣人が担う。人間は普通の生活すら難しい。

 そもそも獣人は人間だ。人間を品種改良をした結果が獣人。ああ、品種改良などしなければ良かったのに。


 私は、楽園を作る。人間が生き生きと伸び伸びと暮らせる楽園を。世界を。

 獣人などいらない。分かり合えない種族なのだ。君は分かり合えると言う。いつか獣人たちと手を取り合えると本気で信じてる。人間だと、どんなに蔑まれてもいつかきっとと夢見ている。そんなの叶わないのに。違う星に逃げたほうが我々の為だ。過半数が賛成した。地球を捨てて違う星に行こう。こんな屈辱味わうくらいならって皆が言った。

 でも君だけは首を縦に振らなかった。逃げて何になる。獣人と分かり合える未来があると本気で言ってた。君は知らないだろう。獣人たちが人間殺戮計画を立てていることを。

 彼らもまた彼らの世界が欲しいのだ。自分たちを生み出した種族が恨めしくて仕方ないのだ。種族の溝は大きい。埋めても埋めても終わりはない。君の願いは無謀である。それが叶えばどんなに素晴らしいことか。さぁ殺される前に抜け出そう。この星を捨てて。

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この星を捨てて 天月虹花 @Nijika0302

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