幽霊が見える体質ゆえ孤独に生きてきた残夏。
彼が春の夜に異形「ハグレモノ」を取り込んでしまう瞬間から物語は一気に緊張感を帯びる。
人間ではいられなくなる恐怖と、討伐組織に利用されるしかない現実。
その残酷さが、彼の「生きたい」という願いをより鮮烈に浮かび上がらせる。
暴走すれば即処分という条件の中で、残夏は自分の存在を問い続ける。
人間なのか化物なのか、居場所はどこにあるのか──
選択すら許されない世界で、それでも前へ進もうとする姿が胸に迫る。
静かな絶望と、消えたくないという切実な願いが交錯する、痛切で力強い選択の物語。