野球で全てを失った少年が、「やりなおし」の一歩を踏み出す物語。
冒頭の「応援は脅迫だ。」という一文から、一気に作品の世界へ引き込まれました。
高校野球最後の一球がもたらした後悔。その傷を抱えた主人公の心理描写がとても丁寧で、夢だったらよかったのにという願いと、現実を受け入れられない苦しさが胸に刺さります。特に、お母さんの優しささえ受け取れず「だから今は母さんも嫌いだ。」と感じてしまう場面は、とてもリアルで印象に残りました。
そこから一転、喋るコーギーや「やりなおしの街」という夢世界が登場し、重すぎる空気を自然に切り替えながらも、主人公の「後悔」としっかり繋がっている構成が見事です。ただ異世界へ行くのではなく、「やり直したい」という強い想いが物語の始まりになっていることに惹かれました。
この先主人公が何を見つけ、どう成長していくのか、とても楽しみです。心理描写と物語への引き込み方が素晴らしい、おすすめしたい作品です。