伊勢佐木町商店街(パート1)

串刺して泳いでいるのは

商店街の鯉のぼり

一連に連なって何を願うのか?

街には棒立ちの鯉のぼりも消え

風は無風

かろうじて幼稚園の鯉のぼりはだらしなく

五月晴れに首括られている

それはわたしの第七官界の外の世界

商店街に活気ある人が欲望を満たしている

つめたい雨は今日は降らずに

鯉のぼりは乾ききった干物と化し

おお、父さん母さん

妹もいたのかそれは昔のこと

いまでは家族バラバラ

寄せ集められた養老院

商店街の鯉のぼりはただよう

賢治、中也、遠い友達よ

康夫はここにいたのか

みどりはどこに行ったのか

街をさまよひ

川をさまよひ

図書館をさまよひ

商店街をさまよひ

映画館をさまよひ


あんまりひどい幻想だ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る