トリック・オア・トリート

「トリック・オア・トリート」

　玄関のドアを開けると、ナイフを持った男が立っていた。私は咄嗟にドアを閉めようとしたが、男はドアの隙間に足を挟んで無理矢理中に入ってきた。

「やめてください」

　私は叫んで必死に抵抗したが、男は一言「黙れ」と言い、カバンの中からロープを取り出し、私の手足を拘束すると口にはガムテープをした。

　それから、男は誰かに電話をし始めた。最近よく強盗事件が起こっているので、きっと仲間を呼んでいるのだろうと思い、私は怯えた。

　そして数分後、ドアが開いた。そこには警察がおり、私は安堵した。きっと、私の悲鳴を聞きつけて誰かが通報してくれたのだろう。警察は私の姿を見て、苦笑いした。

「……これはちょっとやりすぎですね」

　すると、男はこう反論した。

「こいつ、小柄な優男だけどこう見えて7人も殺害してるんですよ？　仕方ないじゃないですか」