情報不足なんてゴメンだ
世界情勢を知らなければ動けない。
ので情報を持っていそうな商人の集まる商業ギルドに登録。受付で情報が集まる場所について尋ねたところ。
「商業都市、ね」
「ああ。商業ギルドが街を治めてる人族の国最大の賑わい度らしい。そこで商売するのが商人を目指す人の憧れなんだとか」
聞いてきた情報を宿屋で二人に連携する。
「商人が最も行き交う大都市か……。多分国の中心地に位置するんじゃないかな。国中どこからも行きやすくないと人が集まらないからね」
「当たりっす。人族の国の地図と照らし合わせて場所を教えてもらったんですけど、領土の真ん中ぐらいにありますね」
「わかってるなら最初から言ってよ」
苦笑されたがこれから伝えようとしていたところだ。
「で、ここがその商業都市」
人族の国、名前はヒューマニアと言うらしい。異世界言語を翻訳しているとは思うので、日本語で表すと人族国家みたいな意味合いの名前なのだろう。
横長のヒューマニア領土の真ん中辺りに商業都市と記された街が書かれていた。
人族の地図だからか国内のことは詳細に書かれているが他は端っこに少し書いてある程度だ。魔族とか獣人族とかエルフ族とかの他種族国家も存在しているらしい。
「上を横断する大きな川があるね。商業都市の上に橋が架かっているから、その先にある防衛都市とも行き来しやすい。前線の補給地点でもありそうだ」
「ですね。ただ、噂ではその橋を通せんぼしてるヤツがいるらしいんで、補給は滞ってるみたいですね」
「本格的な戦争の手立てだね。物資がなければ戦えない。魔族なのかな?」
「そこまではわからないみたいです。結構デカい橋らしいんですけど、鎮座して通せんぼするくらいなんで巨大な化け物らしいですよ」
噂だからどこまで信じたらいいのかわからないが。
「商業都市で情報を集めても、橋が通れないんじゃ大変そうね」
「迂回して川から船を出してるんじゃないかな。物資を届けられないと前線は厳しくなるばかりだし、他の手段で届けてはいると思う。安全で確実な最短距離が使えないってだけで。だから川を渡る必要が出てもどうにかなるとは思うよ」
流石は先生。発言に説得力がある。
「と、最低限の情報を得た感じはこんなもんかな。ってなわけで商業都市に出発しよう」
情報連携を終えたらすぐに出発する。
新垣先生の分の宿代は払っていないので、【存在隠蔽】をしてちょろまかす。宿を出払うことを伝えて掃除代金をやや多めに払う。チップ分、もとい先生分もどきだ。
【存在希薄】をかけたまま街を出る。先生が街に入った形跡がないためこうするしかなかった。出てから【存在希薄】を解く。
「ふぅ。久し振りにこうして外を出歩くから、疲れやすいね」
「はい、【疲労回復】」
「あ、ありがとう。足を引っ張るのは仕方ないけど、頑張るよ」
「体調も万全ではないので、無理はしないでください」
「うん」
先生には荷物を持たせていない。顔色が良くなって肉つきも増しにはなったがまだ元通りとはいっていない。ステータスも俺達の方が高いし、効率の問題でもある。
道中のモンスターは俺達が倒して、食事のタイミング以外ではずっと進み続けた。できる限り早く王都から離れたいという理由だ。寝る間も惜しんで、だが【疲労回復】と【眠気覚まし】のごり押しである。
「もしかして神坂君って、ずっとこうやって起きてたの?」
「? はい。レベル上げは大事そうだったんで、城にいた時からほとんど寝てないですね」
「とんでもない使い方するわね」
なんだか呆れてしまったが、力がなければ虐げられるというなら力を得るしかないのだ。
というわけでほぼ休憩なしに商業都市へ辿り着いた。
「大きいわね……」
商業都市を外側から目にして、アマネが驚いている。街全体としては王都より大きいんじゃないだろうか。高い建物は真ん中辺りの塔だけだが。高い外壁に囲まれた都市だ。
外壁にある門は遠目からでも中に入る人が並んでいるのが見えた。
門から続く街道は都市が見えないところまで繋がっていて、商人が行き来しやすいように道の整備を優先しているらしい。
「平原で道のりも平坦。山や川を越えなくていいのは人が集まりやすい利点か。川が近くにあるから水源も豊富なのかな?」
新垣先生はなんだかんだ楽しんでいるのかもしれない。書物でしか知らない中世っぽい街があるからだろうか。とはいえ先生の眼鏡もそうだが実際の中世よりは近代に近い部分もある。結構チグハグだ。魔法のせいなのか、物資の違いなのか。それとも異世界から来た伝説の勇者とやらがなにか広めたのか。
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