惑星はコンビニを巡る

しいな らん

『惑星はコンビニを巡る』――序文

――アフリカのる民族に伝わる伝承でんしょう


 星がめぐるとき、

 少年と少女は出会った。


 二人は運命を信じ、は神を信じた、

 神はふたりを祝福した。


 少年はこの世の悪を滅ぼす道を開く者として定められ、祝福され生まれた。


 やがて、少年と少女の間に子が生まれた。

 しかしその子は、闇よりでた悪そのものであった。


 少女の一族は、古き呪いに縛られていた。

 それでも少女は、その子を我が子として愛した。


 悪そのものがこの世を闇で覆おうとする、その時、

 真理しんりの女神が天より降り立ち、

 あの世よりつるぎさずけられ、悪を斬り払った。


 呪われた少女は、

 光の少年の手によって癒やされた。


 真理しんり女神めがみの勇姿は、

 誰の目にも触れず、

 その名も、時の彼方に溶けていった。


 だが星がめぐるたび、

 人々はふたたび語る。


――いつか、この世に悪が満ちるとき、

 女神めがみは再び、あのつるぎたずさえて降りる、と。

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