いつか…
露草 夢盟
第1話
僕には、付き合っている人がいる。僕が、平凡な僕が彼女と付き合えたのは、幼馴染という関係があったからだ。彼女との関係が高校生からだったら、きっと付き合えていないだろう。それくらい、彼女は可愛くて綺麗な人だからだ。
「ねぇ、一緒に帰ろう!家でお姉ちゃんも待ってるからさ!」
こいつは
「ちょっと待って。今準備する。」
僕は帰りの支度を急いで終わらせて、彼女の後をついて行った。
「〜♪」
鼻歌混じりに前を歩く華奈。何かいいことでもあったのだろうか。
「今日はさ、私の誕生日のお祝いをお姉ちゃんがしてくれるの!」
「あれ、華奈の誕生日って今日だっけ?」
何度か祝ったことがあるからなんとなく覚えてるけど、今日ではなくてもう少し先だったような気がする。
「違うよ。来週だけどさ、来週は私とお姉ちゃんのどっちもが都合つく日がなくて。だから今日祝ってくれるの!」
言い忘れてたが2人の両親は昔亡くなってしまって、祖父母ももういないらしい。詳しいことは知らないけど、僕のお母さんが2人の母親と仲がよかったし、家も隣だったから、一緒に面倒を見ていた。だから僕は今、2人と仲がいいのだ。
「それにしても、災難だったね。そんな日に
深雪は、僕の彼女で、華奈の双子の姉だ。
「お姉ちゃんは私のお祝いの準備が増えたから不幸中の幸いだって言ってたよ。」
「それはよかったね。帰ったらきっと最高のお祝いでお出迎えしてくれると思うよ。」
僕がそう言うと、華奈は目を輝かせて、
「うん、私、すっごく楽しみなんだ!お姉ちゃんが1日かけて準備しら、どうなってるのか想像がつかないし!」
「僕もそう思う。」
深雪は、少ない時間でも、華奈を喜ばせようとものすごい準備をする。そんな深雪が、1日もかけて準備したら、どんなすごいお祝いになってるのか想像がつかない。そうこう話している間に、僕たちは家に着いた。
「じゃあ、僕はこれで。」
僕がそう言い、自分の家に入ろうとすると、
「ダメ!玲も一緒に来て!」
そう言われた。
「せめて制服から着替えさせて。すぐ行くからさ。」
「すぐ来てね!」
そう、華奈から急かされて、急いで着替えて外に出たら、まだ華奈はそこにいた。
「来た!じゃあ、行こう。」
(多分)外でずっと待ってた華奈と一緒に僕は2人の家へ入ると、
「お誕生日おめでとう!玲!」
と深雪が玄関で僕の名前を呼んだ。僕の誕生日が今日だったことを、すっかりと忘れてしまっていた。
「え、じゃあ華奈のお祝いっていうのは?」
僕疑問に思ったことを聞いてみた。
「半分本当だけど半分嘘。華奈の誕生日が来週なのは本当だけど、都合がつく日がないのは嘘。」
「私が本当に楽しみにしてたのは本当!」
そうだったのか、だからあんなに華奈は急かしてきたのか。
「まさか玲が自分の誕生日を忘れてるなんて思わなかったけどね。」
「え、そうだったの。」
「そうだよお姉ちゃん。玲ったら、私が3日くらい前に誕生日プレゼントなにがいい?って聞いた時も、急にどうしたの?って言ってきたもん。」
「そういうところ、玲らしいね。」
「「あらためて、誕生日おめでとう!」」
2人にそう言われて、僕はとても嬉しい気持ちになった。
「ありがとう。」
僕が言うと、
「ずっと玄関っていうのもあれだから、とりあえずリビングいきましょうか。」
と、深雪と僕たちはリビングまで向かった。
いつか… 露草 夢盟 @tsuyukusa38a1db
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