百合の種を育てる~私と貴女とで溺愛種~

一ノ瀬 彩音

第1話 私は貴女の事が好き

「ここが、ここのお店のマスターがやってるお店だよ」

喫茶店の前に1台の車が止まり、その車から1人の女子高生ともう1人の女性が降りたった。

そして店内の扉を開き、店内のテーブルにつく。

2人の名前は花園莉桜花と小日向美月。

彼女たちは2人で、この喫茶店へとやってきたのだった。

「いい雰囲気の店ね」

「そうでしょ?」

2人はそんな会話を交わすと、そのままメニュー表を見ていく。

「お店の中に飾ってある花、何だか花園の莉桜花みたい」

「あ、私もそう思ってた。あの花の種って売り物なのかな?」

2人はそんなことを語りながら、注文した飲み物がくるまで時間を潰したのだった。

「いらっしゃいませ。お待ちしていましたよ」

彼女たちが店の入り口を開けると、それに気づいたのかカウンターに立っている男が3人に声をかけた。

彼の名前はマスター。

この喫茶店の店主で、2人が待ち合わせていた人物だった。

「こんにちはマスター」

「今日はお招きいただきありがとうございます」

彼女たちはそんな挨拶を交わして、カウンターに座った。

「こちらこそ、来ていただいてありがとうございます」

マスターはそう応えると、彼女たちの前に水を置いた。

そしてメニュー表を差し出しながら言った。

「注文が決まったら教えてくださいね」

2人は頷くと、そのメニュー表を見ていった。

この喫茶店のメニューには、軽食やデザートが並んでおり、2人はそれぞれ食べたいものを注文していったのだった。

2人が注文したものは、それぞれ違うものです。

「私はこのパンケーキをお願いします」

「私はホットケーキにします」

2人の注文を聞いたマスターは、

「かしこまりました」

と言って調理を始めた。

「ねぇ美月。ここのお店ってどんなメニューがあるか知ってる?」

「うーん、私もよく知らないんだよね」

彼女たちがそんな会話をしていると、マスターが話しかけてきたのです。

「この店はね、コーヒーや紅茶はもちろん、軽食やデザートも美味しいものが揃っていますよ」

「そうなんですか?楽しみです」

「はい。是非とも楽しんでいってくださいね」

マスターはそう言うと、調理に戻ったのだった。

「お待たせしました」

数分後、マスターが2人の前に注文した品を置いたのです。

「わぁ! これがパンケーキなんですね!」

莉桜花は目を輝かせながら、目の前に出されたパンケーキを見たのでした。

「美月のホットケーキも美味しそう!」

2人はそれぞれの料理を写真に収めると、早速食べ始めたのです。

「美味しい!」

「うん! これは本当に美味しい!」

2人はその味に感動しながら、どんどん食べ進めていくのです。

そんな2人を見ていたマスターは、微笑みながら言ったのでした。

「お客さんたちは本当に仲がいいんですね」

「はい! 私たち親友なんです」

莉桜花は元気よく答える。

そんな莉桜花の様子に、美月は顔を赤らめながら苦笑いを浮かべていたのだった……。

「ねぇ、マスター。ここのお店って他にも美味しいものがあったりするんですか?」

「ありますよ。例えば……」

マスターはそう言いながら、メニュー表の1ページを開いて見せたのです。

「これはプリンアラモードというものなんですが、これがとてもオススメなんですよ」

彼が指差す先には、綺麗にデコレーションされたプリンアラモードの写真があった。

「プリンアラモードですか。美味しそうですね!」

「はい。これも是非食べてみてください」

「わかりました!それじゃあ、今度はそれをお願いしようかな」

「ありがとうございます。ではすぐに用意致しますので少々お待ちください」

「はい!」

マスターはそう言うと、再び調理に戻っていったのでした。

「ねぇ美月。ちょっと聞いてもいいかな?」

「どうしたの莉桜花?」

「実はね……」

莉桜花は少し言いづらそうにしていたが、意を決したように話し出したのです。

「私ね……最近好きな人ができたんだけど……」

「えっ!?」

美月は驚いた表情を浮かべるのです。

「そっか……それで相談したいことって何なの?」

「それがね……その人とは友達なんだ」

「へぇ〜」

美月は興味深そうに聞いているのでした。

「でも、その人には他にも仲の良い子がいて……」

「あーなるほどね」

美月は納得した様子で頷いたのです。

「だからその人を独り占めしたいなって思っちゃって……」

「そういうことだったんだね」

「うん」

莉桜花は恥ずかしそうに頷く。

「でもね、私ってこういう感情初めてでどうしたらいいのかわからないんだ」

「そっかぁ……」

美月は考え込むような素振りを見せるのです。

「それで、もし良かったら相談に乗って欲しいんだけど……」

「もちろんいいよ」

美月は笑顔で答えた。

「ありがとう!やっぱり美月は頼りになるなぁ〜」

「ふふっ、任せてよ!」

美月はドヤ顔で答えるのだった。

「あのっ!」

2人は注文した料理を食べ終わると、席を立ち上がった。

「ごちそうさまでした!」

「ごちそうさまでした!」

2人がマスターにお礼を伝えるのです。

「どういたしまして。またのお越しをお待ちしていますね」

2人はお礼を言うと、店の外に出たのでした。

「美味しかったね莉桜花」

「うん! また来ようね」

2人は笑顔で話すと、そのまま帰路についたのだった。

「ねぇ美月」

「何?」

「私たちって親友だよね?」

莉桜花は突然、そんなことを言い出したのです。

「当たり前じゃない。どうしたの急に?」

美月は不思議そうに首を傾げるのです。

「ううん、何でもないよ」

莉桜花はそう言って微笑んだのだった。

「ねぇ美月」

2人は喫茶店での会話から数日後、学校帰りに2人で寄り道していた。

その帰り道、莉桜花は突然立ち止まったかと思うと、美月に話しかけたのです。

「どうしたの? 莉桜花?」

美月も足を止めて振り返るのでした。

2人の間に沈黙が流れる……。

そして数秒後、意を決したように口を開いたのは莉桜花だった。

「あのね……私ね……」

莉桜花はそこで言葉を切ると、深呼吸をして再び話し始めたのです。

「……美月のことが好きなんだ」

2人は見つめ合ったまま動かないのです。

「えっと……それってどういう意味かな?」

美月が恐る恐る尋ねるのです。

「そのままの意味だよ」

そんな美月に構わずに続けるのでした。

「私は美月のことが恋愛対象として好きなの!」

「そっか……」

莉桜花の勢いに押されるように、美月は一歩後退りをしたのです。

しかし、美月はその場から離れずに再び莉桜花と向き合ったのです。

「実は私もなんだ」

2人はお互いを見つめ合ったまま、固まってしまったのです。

「……本当?」

先に口を開いたのは莉桜花だった。

「……うん。私も莉桜花のことが好きだよ」

2人の間に沈黙が流れるのです……。

そして数秒後、意を決したように口を開いたのは莉桜花だったのです。

「私たちって両思いだったんだね」

2人は見つめ合ったまま動かないのです。

「ねぇ美月」

2人はまたも立ち止まります。

そして、2人はゆっくりと顔を近づけていきます。

2人の顔はどんどん近づいていくのです。

そしてついに、2人の唇は重なったのです。

2人はゆっくりと唇を離すと、もう一度見つめ合ったのでした。

「ねぇ莉桜花」

2人はまたも立ち止まります。

そして、2人はゆっくりと顔を近づけていきます。

2人の顔はどんどん近づいていくのです。

そしてついに、2人の唇は重なったのです。

「んっ……」

唇を離すと、2人はもう一度見つめ合ったのでした。

2人はお互いを見つめ合うようにしたまま、動かなくなってしまったのです。

「美月?」

そんな沈黙を破ったのは莉桜花だったのです。

そうすると……莉桜花が美月の首の後ろに手を回すと引き寄せたのでした。

そして再び唇を重ねたのです。

今度は先程よりも長く続きました。

しばらくして離れると、またすぐに距離を縮めてキスをします。

そして何度も繰り返すうちにどんどん激しくなっていくのです。

やがて2人は完全にスイッチが入ってしまい、お互いに求め合うようになってしまいました。

2人は何度もキスをすると、舌を絡ませる濃厚なキスをしだしたのです。

莉桜花は美月の口の中に舌を入れると、歯茎の裏をなぞったりしたのです。

そんな激しいディープキスに2人の息遣いは荒くなっていきます。

2人の顔は上気していて赤くなっていて、目は蕩けていました。

しかし、そんなことお構いなしに求め続けた。

しまいには呼吸ができなくなったのか、苦しくなって口を離してしまったんです。

2人の口から銀色の糸が引いているのが見えた瞬間でしたからです。

「はぁ……はぁ……」

2人とも肩で息をしながら見つめ合うのです。

そして、もう一度顔を近づけると今度は軽く触れるだけの優しいキスをしたのです。

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