殺人の動機

男「やっと会えた」

女「君は……見たことない顔だね。もしかして、私が集団自殺させた信徒の家族か何かかい？」

男「違う。俺の家族や友人にお前の宗教に入ってた奴なんていない」

女「じゃあ、どうして？」

男「お前、俺と同じで記憶はそのまま何回も生まれ変わってるだろ？」

女「そうか。……君は私と同業者か」

男「お前は、前の人生ではアメリカの学校で銃乱射事件を起こして模倣事件を多発させ、その前の人生ではイギリスで何人もの女性を殺したが捕まらず未解決事件になっただろ？」

女「そうだよ。つまり、君は私が昔起こした事件の被害者かその家族ってわけか。だけど、よく私が同一人物だって分かったね」

男「俺はその事件の関係者でも何でもない。そして、お前が同一人物だと分かったのはなんとなくの勘だ」

女「事件の関係者じゃないってことは、正義のヒーロー気取りってわけか。それでどうするんだい？　私を殺したところで、私はまた生まれ変わって人を殺すよ」

男「このナイフでお前を殺せば、お前はもう2度と生まれ変わることはできない。あと、俺は正義のヒーローなんかじゃない。ただの小説家さ。お前がイカれた事件を起こすせいで、俺の小説が二番煎じになっちまうのはもうごめんだ」

女「そうなんだ。けど残念。……実はね、私も君のと同じ仕様の銃を持ってるんだ」