第1部：対立と誤解

ユウト王子がリナに惹かれ、二人の距離が縮まるにつれ、女学院内の緊張は高まった。公爵令嬢のエリカは、ユウトが平民のリナに心惹かれていることに激怒する。彼女は自分の取り巻きを使い、リナの特待生の地位を脅かしたり、彼女の私物を隠したりといった陰湿な嫌がらせを始める。

リナは耐え忍ぶが、決定的な事件が起こる。エリカ一派が、ユウトがリナに贈った個人的な手紙を盗み出し、学院の掲示板に貼り出したのだ。手紙には、ユウトが王室の堅苦しい生活に疲れていることや、リナへの素直な想いが綴られていた。これにより、二人の関係は公然のものとなり、学院中が騒然となる。

第2部：試練と真実

このスキャンダルは王宮にも伝わり、ユウトは厳格な教育係から叱責を受ける。さらに、リナはユウトの真の目的が「婚約者探し」であることを友人から聞き、彼が自分を遊び相手にしていたと思い込み、深く傷つく。彼女はユウトからの連絡を一切拒否し、距離を置こうとする。

ユウトは誤解を解こうと焦るが、リナは心を閉ざしてしまう。その矢先、学院の親睦パーティーで、エリカがユウトに対し、皆の前で正式に自分との婚約を迫るという強硬手段に出る。場が凍りつく中、ユウトは毅然とした態度でこれを拒否する。

第3部：和解と未来への選択

ユウトは、もはや立場や体裁よりも大切なものがあると悟り、パーティーを抜け出してリナの部屋へと向かう。そこで彼は、リナに自分の心の全てを打ち明ける。

「私は確かに婚約者を探すためにここに来た。だが、君に出会って、その目的は意味をなさなくなった。私が求めているのは、肩書きではなく、君という一人の人間だ」

ユウトの真剣な告白と、彼が自分を守るためにエリカとの婚約を拒否したことを知ったリナは、ようやく彼を信じる。

物語の結末、ユウトは王家に対して、形式的な婚約者選びではなく、自らの意志で選んだ相手（リナ）と共に未来を歩みたいと宣言する。この決断は王室に波紋を呼ぶが、最終的に二人の真剣さが認められる。

神聖エリバル女学院での経験を通じ、ユウトは一人の人間として成長し、令嬢たちもまた、身分や形式にとらわれず、自分自身の価値観で未来を選択することの重要性を学ぶのであった。二人は周囲の祝福を受け、新たな未来へと歩み始める。