第4話 天使街到着絶叫マシーン
「こんにちは、アスモ デウスです。」
セラフィム・ヴィルに到着した俺は、街に入る為の検問の順番待ちをしていた。
この待ち時間は、なんというか。
そう……人妻に告白したら、旦那がその場に登場して「え?…」みたいになった時くらいの重ーい空気でした。
これから狩られるんじゃないか。とドキドキしていた矢先
検問兵
『次の方〜!どうぞ〜!』
『ようこそっ!セラフィム・ヴィルへ!お兄さん見ない顔だな!楽しんでいってくれっ!』
「あ、はい……タハハハハ」
……そんな明るく出迎えられても、この後の結果が予想でき過ぎていて、
「タハハハハ…」としか言えんかったわ!
ゲイルが検問兵と挨拶を交わし、検問所に到着したんだけどさ、もうね、すっごいの!音が!
ドクドクドクドクドクドクドクっ!!
心臓の音!
ドクドクし過ぎて、ステータス毒なんじゃないかと思うくらいいドクドクしてる。
状態異常耐性無効なんだけどね俺(てへっ)
都内の駅のエスカレーターの順待ちくらいの速度で前に進んでるだけどさ。ちょっとずつ検査?検問?するところが見えてきてるんだけどさ。
なんか検査する人の前に水晶とか剣とかあるんだけどなぁにぃぃ〜それ?こわぁ…
はい、エスカレーターの順待ち終わりました。
検査員
『ようっ!ゲイル!依頼は達成できたのか!?』
検査員はゲイルと顔なじみか。
裏口入学とかしてくんないかなぁ。
ゲイル
『あぁ!俺のパーティなら今のランクの依頼はそんな危なくねぇからな!朝飯前だ!』
検査員
『そりゃよかった!お疲れさんっ!』
ゲイルと肩をバンバン叩き合い、痛くないのかなぁ?と思っていた。
検査員
『そんで、兄さん見ない顔だな、ちょっとチェックさせてもらうぞ!街に入るための決まりなんでな!』
ゲイル
『ホイット(検査員の名前)、こいつはちょっと特別な名前でな、あんま驚くんじゃねぇぞ。色々事情があるみてぇなんだ』
ホイット
『ほほぅ、わかったよ。どれっ』
検査員が水晶に手をかざし、何かを唱えた。
(脳内:光るな光るな光るなァァァ)
ホイット
『セラフィムの光よ。偽りを照らし、正体を暴け。』
ホイットの呪文と共に水晶が青白く光った!
(脳内:やっぱり光ったぁぁぁぁぁきゃぁぁぁぁぁぁーっ!)
俺は、いきなり丸裸にされたと思い脳内でお化け屋敷の女子の如く発狂していた。
その光は、水晶の目の前にいる対象の情報を暴くもののようだった。
ホイット
『どれどれ……お、おいっ!これは!ゲイル!な、なんだこれは!?』
ゲイル
『ん?あぁ。だから驚くなよっていったじゃねぇか。事情があんだよ。あんま深く聞くな』
ホイット
『いや無理があるだろう!ちょっと司祭様に相談してくるからな!少し待ってろ!』
ポツーーーーンとポカーーーーンのダブルゴンボ。
きゃぁぁぁぁぁぁー
司祭様って何!?エクソシスト的なやつ?
俺の名前だけで祓われちゃう感じ!?
ちょっとぉぉぉ、どぉーすんのよこれぇーー!
「あ、あのー、ゲイルさん……俺、やっぱこの街に入れなさそうなんで、そろそろ、おいとまし(ようと思います。って言いたかった)」
最後まで言う前に
ゲイル
『大丈夫だ大丈夫だっ!お前は悪いやつじゃぁねぇ!
ちゃんと審査して貰えんならラッキーだ!問題なきゃ堂々と街で暮らせるぞ!』
俺の肩をバンバン叩く。結構痛いわこれ……
なぁーーにぃを根拠にいっていらっしゃるんですかこの人はぁぁぁー?
いや、良い人だよ!ゲイルさん!苗字があったら漢気が苗字なんじゃないかと思うくらい、めちゃくちゃ漢気溢れる、かっこいい人だよ!
けど、全然大丈夫な気がしないんですけどぉぉぉ
十字架に磔にされる未来が見えるんですけどぉぉぉ
ホイットさんと司教様が駆け足でやってくる。なんか、神を愛してます。と言わんばかりの人連れてきながら
ホイット
『ふぅー、ゲイル待たせたな!司教様お願いします。』
司教様
『お待たせしてすみません。それでは早速失礼しますね。』
『鑑定!』
きゃぁぁぁぁぁぁーっ
な、なにっ!?どこまで見られちゃうの!?
連れてきてから展開早くないっっ!?
スキルとか丸裸にされちゃうの!?
プライバシーはどこにあるのぉぉぉぉ!
司教様
『こ、これは……アスモ……デウス……、あ、アスモさん。でよろしいですかな?あなたの名前は、これはどういうことなんでしょうか?まさか本物の第7悪魔ってことはないですよね……?』
あ、スキルとかは見られてないの……かな?
名前とか年齢とかそんなんだけっぽい?
「あ、はい。もちろん悪魔でもなんでもなくて、普通の、ごく普通の!人間です」
「母親が神からのご信託があったとか何とか言ってて」
よし。ここで少し暗い顔に
「そんな子供が生まれた時に、ご都合よくご信託があるなんて、まっさかー。とは俺も思ってるんですけど」
ちょっとおどけながら
「もちろん生まれたての俺には話す力もないですし、拒否権も何も無く、この名前が普通と思い過ごしてきて、5~6歳の頃に周りの反応とかで違和感を感じ始めました」
残念そうに、猫背になって
「その時くらいから、からかわれたり、怪訝な目で見られたりと、あまり過去にいい思い出がなく……」
人生諦めてます。空気で伝える感じで
「俺の名前がご迷惑をおかけしていて、本当に申し訳ございません」
お辞儀
…
……
どう!?
どうよっ!?
この考え抜かれたシナリオ!!
さっき門のところで、毒食らってるみたいになってた時、俺の頭はフル回転!!脳のエンジン何万馬力もの高速回転で考えたシナリオ!!
だって異世界転生しましたー!とか言っても根拠も何も無いしさ!
信じてくれる!みたいな希望的観測だと、本当に磔されるかもしれないじゃんね!
ほら!
司祭様も、なんって可哀想な!!みたいな顔してるし!
ホイットも、苦労したんだな!みたいな顔してるし!
あ、あれ?
なんか、他の冒険者パーティの方々も……なんか
すんごぉい同情されてるような目で見られてるんですけどぉぉ
女性の冒険者の人なんて、ちょっと泣いてるしぃぃっ!!
ちょっとストーリー盛りすぎた?
なんか……ごめんなさい(反省)
司教様
『…苦労したんですね。鑑定での結果も犯罪者特有の警告もないですし、そんな生い立ちがあったのも分かりました。』
『この街で暮らすには、少し苦労するお名前かもしれませんが、ちゃんと誤解を解いて住民との信頼関係が築ければ、暮らしやすくなると思います…(涙チョロん)』
あ、チョロんしてるとこ悪いんだけど、鑑定のスキルをストックに入れといた方がいいんじゃね?
とりあえず頭の中でもできるか分からんけど!
模倣保存(コピーストック)発動〜
あ、発動できた「うおっ!」
至近距離でやったから、司教様がもうそれはそれは度アップに「うおっ!」と言っちゃったよ。
鼻の角栓見えちゃうくらい度アップだった。
司教様
『?』
「あ、なんでもないですよ(焦)。ちょっと虫が顔に突撃してきたもんで、びっくりして……ハハハ」
とりあえず、鑑定はストック!検証は後で!
司教様のスキルの中に『性技』ってゆーのがあったことは内緒にしておこう。これは取らなくていいや。
……顔に似合わずやってんなぁ司教様。
司教様
『鑑定結果も問題ないので、この方を街に入れても問題ないでしょう』
ホイット
『分かりました!ありがとうございます。ご足労おかけしました。』
ホイットがお辞儀をし、司教様がトコトコと帰って行った。床床(トコトコ)と。
ホイット
『良かったなぁ!アスモさん!ゆっくり街でくつろいで行ってくれ!』
「はい!ありがとうございました!」
俺は深々とお辞儀し、その場を後にした。
無事、検査から解放された俺とゲイル率いる冒険者パーティは、街のとある場所に向かっていた。
と言うのも、ゲイルから提案されたからなんだけどね。
ゲイル
『アスモ!おまえ金はちゃんと持ってんのか?宿屋に泊まるのも飯を食うのも金は必要だからな!ガハハハハ』
「ハハハハハハ!…………も、持ってないです」
いや、そりゃ持ってないよねぇぇーーー!
来たばかりだもんっ!異世界!
なんか道中でレアモンスター倒したとかでもないし!
雑女神から、冒険者セットみたいなものを貰った訳でもないし!
ゲイル
『そ、そうか……そんじゃ!まずは金を稼がねえとな!なんか商いとかやれんのか?それとも、俺らみたいに冒険者になって稼ぐってのも有りだぞ!』
ん〜〜どぉーしよっかなぁ……
商いをするとしても、まずは市場の状況やら、通貨の価値とかとかとか、いろいろ知らないといけないからなぁ
危ないのは嫌だけど、わがまま言ってられないから、やっぱまずは冒険者とかかなぁ……嫌だけど
「そうですね!まずは、冒険者になって日銭を稼ごうと思います!」
ゲイル
『お!そうか!んじゃ俺らは同業者になるな!』
『そんじゃまずは、冒険者登録済ませなきゃいけねぇからよ!連れてってやるぜ』
「ありがとうございます!お願いします!」
冒険者ギルドへ向かう途中で、ゲイルのスキルをちょいと拝借しようと、模倣保存(コピーストック)発動。
うん、近い……ね。すごく。
ゲイルのスキルの中に『剣技』というスキルがあった。
お!いいじゃん!冒険者やるからには攻撃スキル必要だよね!
よし、『模倣保存(コピーストック)』発動して、剣技ストックぅぅ〜
ん?……
反応なし。
なんか……ストック出来ないんだけど……
なんでだろ?
模倣保存(コピーストック)が、上手くいかなかったことに疑問は残るが、
ゲイルは、スタコラサッサというくらいの速度で、冒険者ギルドへと赴くのだった。
到着!最寄り駅徒歩5分くらいのテンションで到着!
ゲイル
『着いたぞ!ここだ!』
模倣保存(コピーストック)の件については、後で考えるか。
「おぉ、ここが冒険者ギルド!」
アニメで見たようなちょっと大きめの建物に、冒険者ギルドと書かれた看板があった。
少し感慨深く、見とれてしまった。
早速俺達は扉を開けて中に入ろうと、ドアを開けた瞬間。5cmくらい開けた瞬間。
反対側から勢いよく出てくる人がいて、ドアが開きました!
俺側にねっ!!
バァァァァンッ!!!
ガスンッ!(←これ俺のおデコにドアが思いっきり当たった音ね)
両開き扉なのぉぉぉぉぉぉーっ!
いたぁぁぁぁぁい!
俺は綺麗に弧を描くように、吹き飛ばされた。
勢いが強いドアから出てきた女性
『なんで私がお前らとパーティを組まなきゃなんないんだよっ!ふざけんなっ!!あっ』
勢いが強いドアから出てきた女性が、俺を見事に吹き飛ばしたことに気づき慌てている。
俺はまだ空中で飛んでいる最中だ。
着地!!
できなかった
ズサァァァァァァァァァァ
……道端に大の字で空を見上げている。
今日、天気いいなぁ……
俺は、あまりの急な展開と衝撃と痛みに立ち上がれずいる
誰か助けてぇぇぇぇぇぇーっ!
(第5話に続く)
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