第2話 レンチン術って何コレマジで!?


「こんにちは、アスモ デウスです。」

異世界転生した(させられた)ばかりで、右も左も分からないまま放り出されて早数分。


目の前にある道っぽい道を、右か左かどっちに行くか迷ってます。詰んでます。


とりあえず、同じ場所で迷ってても仕方ないので、俺は右利きだから右に行ってみることにした。(つまんない理由ですみません)


たしか雑女神が、『転生者はな、行く世界の住人より少し強く、そして頑丈』とかなんとか言ってたよなぁ。

なんかあっても、とりあえずは大丈夫ってことなのかなぁ……不安しかないわぁ……


よし!ちょっと気分上げのために、貰ったスキルを検証してみるか!!

まずは前菜で無限収納は…と。

………

いや、なんも持ってねぇっす。

これは、なんか持ち物増えたらとして……


状態異常耐性は…うん!検証とか無理だよねこれは!毒とかかかりたいとも思わんしね!


次に謎スキルは置いといて、メインディッシュだな!

『模倣保存(コピーストック)』


………


うん、コピーする対象いないと無理じゃんね。

結論、検証不可!不安しかないっ!

誰か助けてぇぇぇぇぇぇ!


………


森の中を30分ほど歩いた時、茂みからガサガサガサ。と音がした。

「ひっ!!…な、なにっ!?」

茂みから勢いよく飛び出してきたのは、1匹のスライムだった。


「なぁーんだっ!アハハ、スライムちゃんかぁ〜」

「序盤のテンプレ雑魚キャラじゃんね!お!しかも模倣保存(コピーストック)の検証させてもらおうかなぁばばばぼべぇげべぇろっ!」


急なスライムの体当たりが、俺の『みぞおち』にクリーヒットしたのよ。

(みぞおち。て医学的な正式名称は「鳩尾」って言うんだよ!知ってた?)


「ぐ、はぁっ…ふぅぅー、ふぅっ」

「ちょ、ちょっ…と、す、ストップ」


息苦しさと呼吸のしにくさにめちゃくちゃ困惑して、ストップお願いしたけど言葉はもちろん伝わらず。


再アタックしてきたスライムを、可憐に(嘘)回避し、体勢を整える。


ようやく落ち着いてきた。

フゥゥーーーと大きく息を吐く。ちょっと冷静になってきた。

確かスライムって、真ん中の核みたいなの壊せば倒せんだよな……

少し強いって雑女神も言ってたし。


スライムが俺にジリジリと近づき、攻撃の姿勢に入った。


よし。ここだ。


スライムのアタックの勢いを利用し、カウンターのようにスライムのコアを思い切り殴った!


そしたら、スライムの核と周りの体を形成している、なんかよく分からないゼリーが爆発したかのように飛び散った!


「きゃぁぁぁぁぁぁぁーーー!」


想像もしてない結果に、思わず女子のような声で発狂してしまった。とても恥ずかしかった……誰もおらんけど……


意外とあっさり倒せたものの、模倣保存(コピーストック)の検証が出来なく悔しいっ!


そしてスライムの体液が服に飛び散りまくってて、ビチャビチャで気持ち悪い…


雑女神が言ってた「少し強い」というのは、あながち間違ってなく、弱い魔物なら簡単に倒せるのかもしれない。みぞおちは予想外だったが……


今度遭遇したら、まずは遠くから様子を見て模倣保存を使うべきだな。うん。そうしよう。うん。


また少し森の中を進んでいると、遠くに動く気配を感じた。

その瞬間だった!



俺は忍者の如くササッと素早く身を隠した。


あれ……ゴブリンじゃね?(脳内:きゃぁぁぁぁぁぁぁー!)


アニメとかでよく見た、緑色の肌に、服とは言えない布?みたいなのを巻き付けたかのような格好、そして見たからに臭そうな感じ。

しかも、なんか石で作った武器っぽいの持ってるし。こわぁ。


ビクビクしながらも、俺は模倣保存を使ってみた。

すると、俺の見えてるものが、模倣対象に一気にズームし、鮮明にそのゴブリンが確認できるようになった。


そのゴブリンの頭の上には

「投てき」「気配察知」「仲間呼び」と3つのスキルがあった。


とりあえずまぁ、なんかの役に立つかもしれない「投てき」と俺にとっては超絶重要スキル「気配察知」をコピーっと。

仲間呼びはね。うん。仲間いないし今ね。はい、寂しい……


意識をその2つのスキルに向けた時、自然とそのスキルの使い方や効果が頭の中で理解した。


やってみて少しずつ分かってくるとかそーゆー次元じゃない、これはもうやり方を最初から知っている。何回も使ってきたスキルのようだった。


模倣保存のスキル名の下にある5つの枠の内、2つが点灯したかのように埋まった。


「お、おぉぉぉぉ…す、すげぇ…」


俺はちょっとテンションが上がった!(レベルじゃなかった)


と、とりあえずゴブリンを倒してみよう。

さっき模倣保存した時にズームになってゴブリンの周囲もチラッと見えたが、イノシシ?豚?見たいなのが見えた。


食材確保も考えていたため、経験値と食材ゲットの一石二鳥だ。ウシシシシ。


………

はい、そんな簡単には行きませんでしたっ!


意外と素早いのこの子(ゴブリン)!

攻撃は単調で回避出来るくらいなんだけど、避け方がさ!なんか!こう!蝶相手にしてるような華麗に避けてくんのね!


あんれぇぇ〜〜〜

ゴブリンてこんなんだったけぇ。と想像と違う結果に、またもや困惑。



あ、



レンチンスキルでゴブリン焼けないかなこれ?



俺は何を根拠に思ったのか、レンチン術をゴブリンに使うことにした。


使い方はよく分からんけど、とりあえず手のひら対象に向けとけば、行けるっしょ!!


おらぁっ!レンチン術!(ダサっ)


ジュワァッ

と唐揚げが美味しく聞こえるような擬音と共に、ゴブリンは溶けて骨だけ残して肉塊は姿を消した……


え、えぇぇ〜〜………グロぉぉ……


レンチン術の予想外の効果に、俺は素直に…


引いた。


(第3章に続く)

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