アニマル・ライフ・クロニクル ── 転生ドブネズミの異世界探索日記 〜曖昧な記憶じゃ無双できないんですけど!
へのへのさんじ
アルジャーノン王国王立学院
歴史学 ハルトマン教授 (11/26 改訂)
第0章 2
『アルジャーノン王国王立学院 ハルトマン教室』
一時限目 小動物世界の成り立ち
「うむ。まず語らねばならないのが《大絶滅》であるな。
およそ二百年ほど前、我々よりはるかに大きな存在──“先人類”と呼ばれる者たちがその文明と共に忽然と姿を消した。
その理由は諸説あり、真相は今なお不明であるが、この出来事によってその当時十五センチ以下の小さな生物だけが生き残ったと言われている。
君たちにとっては、既知の事実だが、我々小動物の平均身長は6〜8cm。
全人口の種族割合は、ネズミ族が約半数を占め、その他の種族が半数。
私はカメ族のイシガメ種で、希少種といわれているな。
種族によって異なるが、我々小動物の平均寿命は5〜7年といわれている。
やがて、生き残った小動物たちは二足歩行を始め、知性を獲得し、今現在は文明を築き、文化的な生活を送るまでに至った。
わずか二百年前までは、言葉も持たず四つ足で野山を駆け回っていたにも関わらずだ。これは、生物学者に言わせると驚異的な進化らしい。
さらに、生物学の観点から、我々は進化の過程で頭髪や顔立ちなどが先人類に近づきつつあり、現在の姿は四足歩行時代と先人類との「中間」にあたる。
“獣人”という言い方もあるそうだ。
進化によって築かれていった文明。
そしてその文明をさらに大きく進めたのが、前世の記憶を断片的に持って生まれてくる《転生者》たちの存在だ。
転生者たちの断片的な記憶の集合体が、文明の飛躍的な進歩に大きく貢献し、遺跡の解析に始まり、農業、建築、医術……あらゆる分野で画期的な知識がもたらされた。
我々が日常的に使っている『乾電池』による電気技術もまた、先人類の遺産と転生者の記憶によるものであるな。」
「ハルトマン教授、転生者とは一体何なのですか?」
「うむ。良い質問だ。残念ながら、それは今も解明されていない。
《天使の祝福》とも、《悪魔の悪戯》とも言われたりするがね。
そして、驚異的な速度で発展を遂げてきた我々の文明だが、ここ十年ほどはほとんど停滞している。
その理由として有力視されているのが、『転生者の元の世界の文明水準に追いついてしまったからではないか』という説であるな。
──まとめよう。
《大絶滅》、そして《転生者》。
我々の文明の根幹は、この大きな2つの謎で成り立っている。
その答えは、いつの日か君たち自身の手で究明してくれると信じているよ。」
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