樹海で命を絶った主人公が目覚めたのは、中国風の文化を持つ異世界。不老不死の身体を得た彼は、数千年という途方もない時間を孤独に過ごすことに。そして再び時を戻った彼の前に現れたのが、運命の少女・宋麗だった。
この作品の最大の魅力は、時間スケールの圧倒的な大きさと、それでいて主人公と宋麗の心の距離がぐっと縮まっていく繊細な描写の対比です。不老不死ゆえに感情を失いかけていた主人公が、宋麗との出会いで少しずつ変わっていく様子が切なくて心に残ります。「周兄」と呼んで無邪気に懐いてくる彼女の存在が、どれほど主人公にとって大きな意味を持つのか、読み進めるほどに理解が深まっていきます。
そして物語が本格的に動き出すのは、革命の影が忍び寄ってから。政府の謀略、民主派勢力の蜂起、影武者と偽装が入り乱れる複雑な政治劇が展開します。誰が味方で誰が敵なのか、何が真実で何が嘘なのか。読者も主人公とともに霧の中を手探りで進んでいくような緊張感があります。
そして最後に待ち受けるのは、予想もしなかった展開。主人公の選択が導く結末に、思わず続きが気になって仕方なくなります。時間を操る「流星の涙」の謎、革命の女神の運命、そして主人公が本当に取り戻したいものは何なのか。壮大な時間SF要素と切ない恋愛要素が絶妙に絡み合った、先が気になる作品です。