第三部
第九話 少女は仮面と出逢う
「この作品の設定で、AIに各話をある程度自由に書かせたらどんな話になるか」っていう実験をしてました
https://kakuyomu.jp/works/822139838499869658/episodes/822139839062652849
18話まであるので、暇な人だけどうぞ!
―――――――――――――――――――――
(……うぅぅ。なんか、ドキドキする)
わたしはウサギさん模様のベッドの上で、魔法少女用のピンクのスマホをぎゅっとにぎりしめた。
あこがれのフラワーさんのニュースをおいかけてたどりついた「魔法少女強さ議論スレ」。
最初からのぞこうと思ってのぞいたわけじゃないけど、そこに書かれていたのは、わたしを大きく変えちゃうかもしれない、「とんでもない秘密」だった!
(魔法少女の武器を、その人に合ったものに変えてくれる、「職人」さん!!)
その人のことを知ったとたんに、わたしの心臓はドキドキうるさくなって、わたしは初めて、掲示板というところに「かきこみ」をしてしまった。
正直に言うと、こわかった。
でも……。
(フラワーさんとはぜんぜんちがう、役立たずのわたしだけど……。わたしだって、かわりたい!)
その一心で掲示板に「かきこみ」をすると、その掲示板の人たちは、わたしに「ヒミツの言葉」を教えてくれた!
魔法少女だけが使える「魔法少女掲示板」に、「メシア」って言葉を入れると、職人さんに連絡できるんだって!!
(「メシア」かぁ。だれかのお名前、なのかなぁ?)
わたしはドキドキしながら、スマホに入ってる「魔法少女掲示板」のアプリをひらく。
この魔法少女掲示板は、「魔力」を調べるから、魔法少女以外は見られない掲示板なんだって。
魔法少女掲示板はまだ見たことがないから少しドキドキするけど、「強さ議論スレ」の掲示板の人たちもいい人だったし、きっとだいじょうぶ!
(ここで「けんさく」すればいいんだよね。……これかな?)
虫メガネ(前に理科の実験で使った!)のマークのところに、「め・し・あ」と文字をうちこんで、わすれずにカタカナに変える。
(……これでいい、のかなぁ)
不安を胸のおくにおしこんで、深呼吸。
(おねがいします……!)
勇気を出して、ボタンを押す。
結果は、一瞬で出た。
「……ふぇ?」
急に、画面の色が変わる。
ううん、色だけじゃない。
掲示板だったはずの画面が、一面の真っ赤な画面に変わっちゃった。
そんな真っ赤な世界に、真っ白い文字で「英語」が書かれている。
(これ、「メールアドレス」だよね)
つまり、この「アドレス」に連絡すると、きっと「職人さん」さんとお話しできる……はず。
でも……。
(ど、どうしよう……)
いまさらになって、なんだかこわくなってしまった。
クラスで一番オシャレでオトナなミキちゃんは、「インターネットにいる奴なんてヘンタイとカスばっかりなんだから。あんなのの言うこと、ぜったい信じちゃダメよ」って言ってた。
いまは「バイト」っていうのでいそがしくてあんまりお話できてないけど、わたしが世界で一番すごいと思っているおねえちゃんも、「いーい、
(う、うぅぅ……)
いつもだったらオトナの人に相談するけど、わたしが魔法少女だってことは、ママもパパも、おねえちゃんだって知らない、わたしと妖精のピルピーちゃんだけのヒミツだ。
これだけは、相談するわけにはいかない。
それに……。
(言ったら絶対、止められちゃう、よね?)
……ほんとうはわたしだって、こんなのあぶないってわかってる。
でも……!
(でも、わたし、もう「そよ風しか出せない魔法少女」ってみんなに笑われるの、やだよ……)
窓からぐうぜん見えた、空をかけまわって戦う魔法少女さん。
そのときのわたしは魔法少女さんたちのことなんてなにも知らなかったけど、ただ、「すごい」って見とれてた。
あとでその魔法少女さんが「セフィラムーン」って名前だって知って、その人の仲間のフラワーさんやメアさんも応援するようになって、魔法少女さんたちをおいかけてるうちにピルピーちゃんと出会って、魔法少女にならないかって言われて……。
いろんなことがあったけど、やっぱり最初の気持ちは、変わらない。
――あの日の魔法少女さんみたいな、かっこいい魔法少女に、わたしもなりたい!
だとしたら、こんな弱虫でおくびょうな自分じゃ、いられない。
わたしは、大きく深呼吸をして、メールをひらいた。
それから、すこしずつボタンを押して、文章をかんがえていく。
自分がいま、〈ソフィアスカイ〉という名前の魔法少女をしてること。
でも、どんなにがんばっても魔法が出せないこと。
そのせいで、「そよ風の魔法少女」なんてバカにされてること。
テレビに映っている魔法少女さんたちみたいに、すごい魔法を使いたいこと。
何度も消したり書き直したりしながら、思ってることぜんぶを、メールに書いた。
(……これで、つたわるかな。つたわると、いいな)
いけないことをしてる気がして、ゆびが、ふるえる。
それでも、
「……えいっ!」
目をつぶって、「送信」って書かれたボタンを押す。
「ほ、ほんとに、押し、ちゃった……」
なんだか夢みたいなきもちで、ドキドキとワクワクがまざって、走り出したくなる。
ほんとに走ってきちゃおうかな、なんて、わたしが思ったところで、
「ひゃあっ!?」
きゅうにスマホが鳴って、ベッドからおちそうになった。
いそいで画面を見たら、「ひつうちせってい」と書いてある。
(しょ、職人さん……?)
ほんとうの名前は、「ひつうちせってい」さんって言うんだろうか。
わたしはすぐに電話に出ようとして、ギリギリでその指がとまった。
(こ、こわい人だったら、どうしよう)
前にテレビで見た「職人」って呼ばれてた人は、すごくこわそうなおじいさんだった。
四角い顔をして、すごい「こだわり」で、きびしいことを言う人。
ママは「それだけ一生懸命なのよ」って言ってたけど、わたしはいきなり大きな声を出すあの「職人」さんのことが、こわくてしかたなかった。
おそるおそる、緑のボタンを押す。
「あ、あの……」
ハキハキ話さないと、きっと怒られる。
そう思うのに、声が出ない。
怒鳴られちゃうだろうか、そう思って身体をぎゅっとちっちゃくしたわたしに、かけられた声は、
『もしもし。君が、ソフィアスカイちゃんかな?』
「……え?」
なんだかとってもやさしそうな、「おにいさん」の声だった。
※ ※ ※
(も、もうすぐ、きちゃう……!)
電話でお話をした「職人」のおにいさんは、とってもやさしかった!
わたしがいっしょうけんめいにしたお話を「うんうん」ってぜんぶ聞いてくれて、なおせるかどうか、ステッキを直接見てくれるってことになった。
でも、ママやおねえちゃんに内緒で外に出かけて人と会うのは、やっぱりちょっとこわい。
わたしがどう答えていいかわからなくて、困っていると、
「うーん。本当は……よくないんだけど。スカイちゃんがおうちの人に内緒に出来るなら、スカイちゃんの家に行こうか」
って言ってくれたんだ!
(職人さんって、やっぱり、やさしい人だ!)
ちょうどママもおねえちゃんも出かけてて、しばらくは帰ってこないと言うと、職人さんはすぐにこっちに来てくれるって言ってた。
だからわたしは大急ぎで紅茶(いつもおねえちゃんが飲んでるやつ。オトナっぽい!)と、とっておきのケーキ(ママが「あおちゃんの分だよ」って言ってくれたやつ)をテーブルに用意して、「職人」のおにいちゃんを待つ。
(うん、これでバッチリ!)
一番のお気に入りの、かわいいミニウサギの絵がついたフォークを用意して、じゅんびばんたん!
いつでもおにいちゃんをおむかえできるぞ、と思っていると、
――ピンポーン。
ちょうど、インターホンの音がなった。
(きたっ!)
わたしは、いそいでげんかんのドアにむかう。
頭の中は、おにいちゃんとどんな話をするかでいっぱいだった。
おにいちゃんは「職人」さんだから、きっと魔法少女にもくわしいはず!
だったら、いままでおねえちゃんにも話せなかった、魔法少女のお話や相談だって、聞いてくれるはず!
おねえちゃんには、「お客さんが来たら、まずはインターホンで相手を確認すること」って言われているけど、もう待てなかった。
直接げんかんに走って、ドキドキしながら、ドアをあける。
「いらっしゃい、職人さ――」
やってきた人かげと、目が合う。
でも、そこに見えたのは、わたしが想像してたやさしい顔じゃなかった。
なんの表情もうかばない、真っ白で、くちばしがとがった、こわい鳥さんの顔。
それからその上、どこまでも続く底なしの穴みたいなふたつの目が、わたしのことを見下ろしていて……。
「――ひぅ!?」
わたしは涙目になって、げんかんに座りこんじゃったのだった。
―――――――――――――――――――――
怪奇! 妖怪ペストマスク仮面!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます