タイトルと設定の強烈なインパクトに惹かれて読み始めると、そこにある「底の見えない泥沼のような人間関係」と「ヒリヒリとした緊迫感」に一気に心を囚われてしまう作品です。
主人公・小春(小夜子)が身を置く、年齢に見合わない過酷で夜の匂いがする世界。そして、様々なトラブルや脅迫、悪意に晒されながらも、必死に前を向いて生きようとする彼女の姿は、危うくて、どこか退廃的で、だからこそ目が離せない儚い美しさがあります。
そんな彼女と、一本の細い糸で繋がっている幼馴染との関係性がまた絶妙です。
お互いが心の拠り所でありながらも、一歩間違えればすべてが崩壊してしまいそうなスリリングな距離感。単なる甘い恋愛小説ではなく、人間のドロっとしたエゴや執着、そしてその裏にある純粋な想いが複雑に絡み合っています。