微循環
@satoka2
微循環
陽は昇る。
人々の営みを照らし、そしてまた、人々の営みとともに沈んでいく。
それは律儀に、次の日も、その次の日も、昇り、照らし、沈む。
しかし、不思議なことに、それらは正確なようで——正確ではない。
ごくわずかなズレを孕みながら、繰り返されている。
なぜか。
果たして、そうなる必要はあったのか。
一方で、
人は産まれる。
命ある限り、その宿命を歩み、やがて静かに消えていく。
けれども、ここでもまた、新たな命が産まれる。
不思議なことに、そこにも微かなズレが宿っている。
果たして、そうなる必要があるのか。
ふと思う。
同じではない理由。
同じであってはならない理由。
違いの中に、何か答えにも似たもの。はたまた、何もないという虚無。
そのどちらでもない、静かな余白。
この不確かで、微細な——「ズレ」。
それがすべてのものにまとわりつき、すべてのものの微循環を生み出している。
陶器職人が、二度と同じ物を作れないように。
いつも着ている服の着心地が、少しずつ違うように。
化粧のノリが、昨日と今日とで絶望的に違うように。
そこに、同じではいけない重要な何かがあるのだと思えてくる。
あぁ、、今日ももうこんな時間か、、、
また明日も、今日とは違う陽が昇る。
微循環 @satoka2
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