失敗から生まれた食べ物③コーンフレーク


 とある兄弟たちが、病院食を作っていた。


 小麦粉を練り、それを薄いパンに加工する。

 これなら病人たちの口でも食べやすいという思いやりからこれは生まれた。


「あれ? 焼いてなかったのか」


 毎日毎日同じことを繰り返す。

 そんなある日のことだ。

 パン生地を焼き忘れ放置してしまった。


 柔らかいパン生地からは水分が失われ、パサパサして硬い。

 とてもではないが人に振る舞えない。


「どうする? これを捨てた方がいいか?」

「いやだが。自分で食べる分には問題なくないか」


 そこには二人の懐事情が関係していた。


 続いてには自分たちの事情を考えてしまう。


 2人はパンモドキを砕きオープンで焼いた。


「これは」

「意外とイケる」

 サクッとした歯ごたえに、焼いたことで生まれた小麦の香ばしさ。

 素朴な味わいだと言うのに、どこか人を惹きつける魅力があった。


 これが後のコーンフレークである。

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