言葉で心と世界を綴ったことのある人には、より優しく繊細に響く祈りのような物語でした。
主人公マリアは詩を綴る女性です。彼女の言葉はそれを読む誰かの心を救いました。毎日毎日、大切に言葉を届けるマリア。しかし、そんな彼女に思いがけない悲劇が襲い掛かり――。言葉とは何か。もし今大きな災害が起きた時、生きる上ですぐに役立つものではないかも知れない。それでも、言葉はひとの心を救うものなのだと私は思います。短い作品の中に言葉の力が込められた美しい作品を、是非。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(239文字)
マリアの穏やかで優しい思いやりに、私も心が温かくなりました。ふんわりと優しい読後感です。素敵な作品をありがとうございました。
詩として言葉を置く。すると、世界のどこかで現実が変化する。そんな不思議な力を持つマリア。そして、マリアが綴る詩に絵を描くことが好きなレオン。この二人が織りなすちょっと悲しい物語です。届いて欲しい時に届かない言葉の力。そんなもどかしさに、少し目頭が熱くなってしまうような一作です。
静謐な筆致で描かれる「言葉」と「祈り」の物語。詩を書くという営みを、魔法でも奇跡でもなく、世界に寄り添う行為として描いています。作中の“マリア”の沈黙と再生は、作者が信じる“言葉の力”そのものの象徴。読む者の心にも、静かな祈りが染み渡る一篇です。