【14話】えっほえっほ-2

 漸く坂を上りきり、高台の頂上へ到達した。着ていたセーターは随分前に脱いだが、それでもインナーが一目見てわかるほどにびっしょりと色を変えていた。顔にも、腕にも、足にも。身体中ありとあらゆるところを汗が伝っている。毛穴という毛穴が開いている気がするが、これはタイムトラベルの影響もあるのだろうか。七夕の願いがひとつ叶うのなら、今は早くシャワーを浴びたい。

 続いてニコルも頂上へ到着した。元気のいい赤色をしていたサンタ服もところどころ暗く臙脂になっているように見える。こちらも汗まみれだ。頬を、首筋を、太ももを伝う汗。そして、はぁはぁと切らした息が漏れるのがなんだか色っぽい。火照った身体に赤く染めた頬で、セクハラです減点ですと訴えてくる姿に、なんかこうこみ上げてくるものがある。たぶん、汗だけど。

「語くんはほんまにどうしようもない体たらくやな。略して、どうていや。」

 と一羽のフクロウが空から舞い降りて言う。お前、キャノだな。その略し方はやめてもらいたいのだが。いろんな意味で。

「やっぱあかんか。にしても、ふたりともごっつい汗やなあ。」

「私たちはどれだけ暑くても、空飛んだりできないの。するいよ、キャノ。」

「空は快適やったで。いい感じに涼しくて風も気持ちよかった。」

 一人(?)だけ汗もかかずに言いやがる。ところで、なんでフクロウなの?

「夜の鳥といえばフクロウやろ。それに、この時代フクロウ流行ってるんやろ?」

 バズった時代ちょっとズレてるって伝えなきゃ。えっほ、えっほ。

 なんやそれ?と言いながら、キャノは元の猫の姿に戻る。

 インターネットミームって伝えなきゃ。えっほ、えっほ。

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