【4話】ホンモノノサンタ-4
「今の話で、私の情報力についてはお判りいただけたと思います。そして、何故こんなことまで知っているのか疑問に感じていらっしゃると思います。次は、それについて説明したいと思います。」
ここまでは想定内、ということだろうか。彼女は依然そのペースを崩さず、淡々と言葉を紡ぐ。俺と律葵にとっては情報量が多すぎて、とてもじゃないけど処理が追いつかないんだけれど。
とはいえ、突然の彼女の訪問からこうも一方的に掻き回され、それでもなんとかついて来れたんだ。そう簡単に置いてけぼりをくらうような、これ以上のものは出てこないだろうさ。
「…信じてもらえないかも知れませんが、私はこの時代の人間ではないのです。もっと未来から来ました。」
ここイチのが来た。
耳を疑った。こいつ、とんでもないことを言いやがった。もう頭がおかしいとかそういう次元ではない。俺の耳が正常であるならば、こいつはあり得ないことを言ってのけたのだ。
今の一言は、大人の事情に引っかかる。危ない橋を渡りすぎている。取り消せ!取り消さないと宇宙人とか超能力者とかもっとすごいのがいる謎の集団に消されてしまうぞ!
「語。気持ちはわかるがツッコむところはそこじゃない。」
…はっ、確かに。あまりの衝撃に我を忘れてしまうところだった。
「私ももう少し表現を考えるべきでした。しかし、端的にお話ししようとすれば、今のような説明になるのです。私はこの時代からおおよそ七〇〇年後の未来から来ました。あなたからすれば未来人ということになるのです。おふたりの情報を知っていたのもその為です。」
情報のインパクトが大きすぎて、先ほど受けた辱めのことなどすっかり忘却の彼方へと消え去ってしまっていた。
職業がサンタクロースの未来人?下手なライトノベルでも今どき採用しないような、属性盛り盛りの設定は流石に片腹痛いぞ?何百歩、何万歩も譲って、なんとかこの女の妄言をスルーしてきたけど、ここまでバカにされたもんじゃ意外といい奴を自負しているこの俺でも堪忍袋の尾が微塵切りになってしまう。これ以上、話を聞いても時間の無駄だ。今すぐ出て行ってくれ。さもないと、今度こそ本当に警察を呼ぶ。
「待ってください!馬鹿にしているとか、そういうつもりはないんです!私はただ…」
「悪いけど、流石に今のは無いんじゃないかな。あなたの話、聞くくらいはしてあげたいと思ったけど、こっちが追い出さないのをいいことにこんなくだらないこと言うなんて、悪徳セールスか何かの勧誘としか思えない。語の言った通り、帰ってくれませんか。」
彼女の言葉を遮ってまで、律葵も俺に同調した。
ニコルはというと、流石にこの展開は彼女の予定調和ルートを外れたようで、この場を取り成す言葉を探してあたふたしていた。
しばし沈黙の後、俺はスマホを拾おうと静かに背を向けた。その時、背後から聞き覚えのない声が聞こえた。
「ほら、あかんやん。やっぱりホンマのこと言うても信じてもらえんて。」
どうやら新キャラが登場したらしい。
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