第一章 第七話「キラキラスライム☆ルディ」

 そこに立っていたのは、カレンの使い魔を掴んだセイラ。カレンの魔獣は、キラキラスライという魔獣のルディだ。カレンが幼かった頃、河原で出会ったのが二人の関係の始まりだ。変身したり、話したりすることはできないが、とても便利な魔獣である。キラキラとした水色のボディに黒い眼が二つ。横に長い口。ゆるキャラのような顔立ちをしている。ちなみに、セイラの魔獣はムジークカナリアのキャロル。風属性に特化した可愛い魔獣だ。

 二人をリビングに通し、カレンは言った。

「ルディ…ごめんね、忘れちゃってた」

 あまりに部屋に夢中になっていた。ルディは口を歪めて拗ねたようなそぶりを見せた。しかし、魔力を纏ったカレンが彼に「ごめんね…」と言い抱きつくと、途端にご機嫌になった。

「なぜセイラのところに?」

「ルディが見せてくれた映像によると、鞄から這い出して階段を登ったは良いものの、魔法陣が現れて戸惑っているうちに扉の外へ放り出されていたそうですわ」

「…なるほど。私の魔力を感知しないと通れないみたい。ルディ、魔力を分けておいても良い?」

 ルディは頷く。話せないけれど言葉は理解できる賢い子だ。

「ホーリー・レイディアンス!」

 ルディの体内に魔力が入っていくイメージを頭の中でする。すると、なんと、ルディは淡いピンク色に変化した。

「えええ!?」

 どうやらルディは水色に見えていただけで透明だったようだ。

「かわい〜!」

 なぜかルディはもっとピンク色になった。


「ところで、というのもおかしいのですけれども、お姉様、このお部屋は一体?上階はどうなっているのですか?」

 セイラが真っ当な質問をした。

「そうなの!広くてびっくりしちゃった!そうだ、セイラ、「無限トランク」の箒はもう作った?」

「いいえ、お姉様」

「じゃあ、これから一緒に無限トランクを取りに行って、ここで、一緒に箒を育てない?案内もするし」

 カレンの提案にセイラは大きく頷いた。

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