漫画原作シナリオ(練習作):「ぼくには見えるんだ」

Kay.Valentine

第1話

これは初めて書いた漫画原作シナリオです。


映画「シックスセンス」を見ている時に


着想を得ました。


ヒマなら読んでみてください。


~~~ ~~~ ~~~ ~~~ ~~~ 


タイトル  SF 「ボクには見えるんだ」   


キャラクター


岡田弘美(39)……専業主婦。秀一の母。        

 

岡田秀一(11)……息子。小学五年生。

転倒して頭を打撲してから、

一時的に予知能力が備わった。


〇岡田家・ダイニングキッチン(平日 夕方)


ダイニングキッチンには四人掛けのテーブル。


花柄の壁。


窓際にはポインセチアを挿した花瓶。


柔らかな西日を背に奥のキッチンで


弘美がレジ袋から食材を取り出している。


玄関が閉まる音。秀一が靴を脱ぐ音。


階段をのぼる音。


弘美

「(2階の秀一の部屋に向けて大きな声で)


シュウちゃん、


おいしいダージリン買ってきたよー。


今淹れるからね」


弘美は、


息子と自分のティーカップに


ポットから紅茶を注ぎ、


息子のをテーブルの向かい側に置く。


秀一が来て、


自分のティーカップの前に座る。


弘美「(紅茶を一口飲んで)


昨日はびっくりしたねぇ……。

   

(秀一に笑顔を向けて)

  

でも、何ともなくてよかったね。


先生も異常ないって言ってたし」


秀一「(紅茶を啜って)うん、よかった。


まさか、自分ちのベランダで滑るなんてね。


頭を打った時にはびっくりしたなあ」


弘美

「でも今日ちょっと元気ないんじゃないの。


なんだかふさいでいるような……」


秀一は視線を床に落とした後、


顔をあげ、懇願するような表情で、


秀一「ねえ、ママ……明日は外に出ないで」


弘美「えっ? (苦笑して)何言ってるの。


ママは忙しいの。お買いものもあるし」


秀一「(真剣な表情で)ねえ、お願いだから」


弘美「(真顔になって)何故なの?」


秀一

「明日の今頃ね、悪いことが起こるんだ」


弘美

「(ぷっと噴き出して)もう一杯淹れるね」


弘美は秀一のカップに紅茶を注ぐ。


秀一「(窓際の花瓶を指さして)


ねえ、ママ。


五分以内に窓際のあの花瓶が割れるよ」


弘美「(面倒くさそうに)……冗談の続き?」


キッチンの食器がカタカタと鳴り始め


音が次第に強くなる。


パシャーン。


弘美の顔、強張る。


弘美の目は


床の上の割れた花瓶に釘付けになる。


揺れがおさまる。


秀一を振り返り


弘美「……(心配そうな表情で)


明日、何が起こるの? 悪いことって何?」


秀一は宙を凝視している。


秀一

「(無表情で淡々と)ボクには見えるんだ。


霊安室のベッドにママが仰向けになっている。


パパが覆いかぶさるようにして泣き叫んでいる。  


『ひろみ、ひろみ』って言ってね。


ママは信号無視のトラックに撥ねられて


死んだんだ」


弘美は大きく見開いた目で


瞬きもせずに息子の顔を見つめ、


肩を大きく上下させて


荒い口呼吸をしている。




〇同・寝室(翌日 夕方)


弘美は布団にうつ伏せになり、


掛布団にくるまって震えている。 

 

寝室の扉ががらがらと開いて、


秀一「(元気よく)もう大丈夫だよ」


弘美「(くるまっている掛布団から


首だけ出して心配そうに) 


……ねえ、明日はどうなるの?」


秀一「分からないよ。


予知能力は昨日だけだった。


じゃあ、サッカーしに行くね」


秀一は外に出て行く。


ガチャンという玄関の音のあと、


遠くから息子の声が流れてくる。


秀一「雄太ぁー、サッカーしようよー」

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漫画原作シナリオ(練習作):「ぼくには見えるんだ」 Kay.Valentine @Kay_Valentine

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