人と人形の境界、魂の在りかを問う物語
- ★★★ Excellent!!!
人形と人、創造と愛――そんな繊細で危ういテーマを、ここまで美しく、そして大胆に描き切る作品はなかなかありません。
本作は「人は愛する者をもう一度創れるのか」という、哲学的でありながらも極めて人間的な問いを軸に進んでいきます。
真里亞という“魂”を得た存在が、無垢から「自己」を知り、心を持ち、想いを形にしていく過程は、まるで一人の人間の誕生と成長を目の前で見ているよう。
創造主と被造物の関係が、単なる主従ではなく、愛情・執着・祈り・狂気が交差する濃密な関係へと変わっていく描写は圧巻です。
感情を丁寧にすくい上げる文章により、読後には「これは愛なのか、それとも越えてはならない一線なのか」と、静かに胸が揺さぶられます。