AIの実証実験ではなさそうなので怖くなる

 AI編集者については様々な意見がSNSでみられた。

 感想は人それぞれなのだけど、俺が気になったのは金の匂いがずっとしていることだ。

 SNSアカウントでは立ち回りが上手い。

 ビジネスパーソンとして非常に優秀であろうことが文面から察せられる。

 炎上対策は完璧だ。

 投稿小説からの学習なしでは成り立たないこと、知人作家を通じて労力に対して儲かっていないことを強調するなど、話題になってからの動きがあまりにも洗練されすぎている。


 全く目的が分からない。

 考えられるのは、


 狂気的な情熱でAIの有用性を証明するための実験。

 情報商材の開発と実績作り。

 未知のAIビジネスのための布石(天才的な計画がある)。


 この辺りだろうか。

 こういうことをする人から金の匂いはあまり感じないものだ。のちに大成功するとしても俺程度の人間には分からない。


 さて、ここからは俺の妄想を書く。

-----


 なんだろうと考えながら過ごしていると目を引く情報が流れてきた。

 AI編集者の知人によれば、日に十時間の労力を注いで時給換算800円だという。しかも、AI技術者であのAI使用自体も高額サービスを利用してそれだという。



 でっけえシノギの匂いがする。



 かぐわしき金の匂いが確かにした。

 時給800円は少なすぎるだろう、普通に考えれば。

 あまりにも明確な低賃金だ。利益などでない。

 だがしかし、人の手が入りながらも自動化された時給800円。

 

 かつての仮想通貨マイニング熱狂時代を思い出す。

 何かが似ている。

 まったくもって非論理的だが、どこか近いとこがある。


 初期投資でPC環境による稼働工場を用意さえすれば、電源オンしておくだけでじわじわ金が増えていく。

 それが仮想通貨マイニングだった。


 AIによる小説執筆はツール化しても全自動は難しいだろう。

 1アカウントだけではペイできないように思える。

 複数カクヨムアカウント、複数銀行口座、複数アマゾンアカウント、複数の携帯電話番号、これらが必須だ。

 この条件から口座売買や飛ばし携帯を導入できる反社会勢力との関りが必須になっていく、と当初は考えた。

 この時点で仮想通貨マイニングよりもハードルが高い。

 口座屋と電話屋は反社だ。こんなものに関わるのはリスクが高すぎる。買った側だとしても摘発されれば口座凍結や半グレとみなされて反社登録されるところまで考えられる。


 なにかを見落としている。


 情弱をカモにした情報商売をスマートに売りさばくなら、これは良いツールだ。

 はたまた法人や投資家相手に実験的ビジネスとして売り込むか。

 それでも人の手が少しでも入ってしまうし前述した口座売買の必要性から、前者では洗練された対応がひっかかり、後者はツメが甘すぎるのに洗練されすぎている矛盾にひっかかりを覚える。

 

 深夜に急な占い依頼があり、対応後に休む。

 占い師みたいな仕事は緊急対応を受けないと成り立たない。依頼があれば物理的に不可能でない限り即対応する。

 ふと、以前に短期間だけサラリーマンをやっていた就労支援施設のことを思い出した。


 ああ、それか。


 かつて俺が支援スタッフとして勤めていた就労支援施設は不正受給の温床だった。

 報復が怖いので絶対に告発などできない。そんなことしたら、家が燃えたり身内が怪我をするくらいは考えられるからだ。


 あの環境なら何の問題もなくAI編集者がシノギになる。


 就労支援B型であれば導入できる事業だ。

 まったくもって正しい事業所でも、貧困ビジネスの温床になっているところでも、どちらでもリソースを用意できる。

 合法のシノギだ。


 疑問が解決して、すっきりした。

 これ以上書いてしまうといろんなとこにケンカ売ることになりそうなので、今回はここで筆を置く。


 もしも福祉事業者で、AI小説執筆による広告収入を導入したところがあればこのエッセイは即刻削除する。  

 虎の尾は踏みたくない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

AI小説が一位ということでシノギを考える 海老 @lobster

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ