メグル・キラキラ・メイク
わこうど
第1話 キラキラ・メグル
春井「……ぁ…あの……」
母 「邪魔、どけよ」
春井「ご、ごはん、そ、その、ご飯がが欲しい…でッ」
ドッッ!!!! バン‼︎!
余りの勢いに一瞬何が起きたか分からなかった。どうやら蹴り飛ばされたようだ。
鳩尾に強烈なケンカキック、息が吸えなくなり嗚咽を繰り返す。
いつも自室の前で立ち尽くし、リビングのソファに鎮座してる機嫌の悪い母に許しを乞うている。
貧血になり、視界がブラックアウト、声が完全に出なくなるまで立ち続ける。
今日の不機嫌の理由は、自室が散らかっていた事。
大罪である。母の帰宅までに綺麗にして置くのはこの家の法律の一つである。
母 「外の雪でも食ってろよ。そのまま死ねば。」
春井「…………………………ハィ…」
4月頃、未だ外には申し訳程度の雪が残っている。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明日から小学5年生。毎日の給食と離れた父から買って貰った3DSと学校の友人が僅かな心の支えである。
隆也「なぁなぁ!!オマエついにちんちん無くなったのか??!」
春井「はぁ?イミがわからないんだけど、何?なくなってねぇよ、ちゃんと。」
隆也「でもオマエの下駄箱に女子が化粧するやつはいってたぞ。ウソつくなって〜。」
春井の朝は早い。母の起床より早く、なるべく悟られずに学校へ向かう。
その為いつもは一番早くに教室に着くが、
たまに気まぐれで隆也が早めに来る。
それら偶然が重なって今の会話に至る。
春井「それどこ?」
隆也「先生が女子が間違えて入れたのかもって持ってった。」
春井「じゃあそうなんじゃね。絶対おれのじゃ無いし。」
隆也「てかオマエ次から女子トイレ入るのかよ!!うわぁキモ!!」
春井「だからちげぇよ隆也バカ魔人。」
隆也「春井エロスケベ人のクセに。」
1日の授業の終わり頃、担任の細田先生に呼び出された。
細田「あぁ、春井、これお前のお母さんのヤツだったんだな!、モテたいからって、学校に関係の無い物持って来ちゃダメだからな?!、ちゃんとお母さんに謝るんだぞ?」
春井「ごめんなさい。きをつけます。」
細田「分かれば良い!気をつけて帰れよ!。」
大人の言葉に否定が出来ず、母の化粧箱として受け取ってしまった。恐る恐る中を確認すると子供でも分かるくらい高級感のある道具が入っていた。
その一つ一つは触れたくなるような妖しいオーラを纏っており、キャップを開ければそれをどの様に使用するのかが素人目でも直感で理解できた。
春井「ぇえ、え、えええ????!!!」
気がついたら、鏡には知らない女性がいた。
髪は短く、ツーブロックで、目も細く、何一つ女の子らしさの無いパーツが整形レベルの変化を起こしている。
その変化に驚き、楽しんでいる最中、家の電話が鳴った。
119「そちら〜〜さんのお宅で間違い無いですか?」
春井「そうです。」
119「もしかしてお子さんかな?君以外の大人の人いる?いたら変わってくれるかな?」
春井「ぼくだけです。お父さんはいなくなりましたお母さんがどうかしましたか?」
119「落ち着いて聞いて欲しいんだけど、お母さん、4階から足を滑らせて落ちちゃったみたいでね、手術中なんだけど意識がまだ戻らないの。今から君を迎えに行くから、住所を教えてくれないかな?」
ガチャッ。
体が勝手に動いた。道徳の授業やテレビのドラマでみんなが親が傷ついて悲しんでいるのを見てはいた為、嘘でも悲しむのが常識だと思っていた。
故に動揺していた。自分の行動と、感情と、こうであるべき常識とのギャップに。
鏡の前でステップを踏む。習ってはいない。感情のまま、今の状況と生まれ変わった自分の見た目に喜び、狂い踊る。
日が昇り、沈み、また昇る。
感情はヒートアップ、ステップはタップダンスの如くリズミカルに。
睡眠も食事も取らずにに踊り続け、スピードだけが上がって行く。心拍数は200を超えようとしてる。
うまれ変わろうとしている。
春井?「いや、うまれカわっているのだ。」
しかいはほわいとあうとしている。
まるでそらにトべそうな。
キラキラ、
キラキラ、
キラキラ、
ガ、
メグル。
メグル・キラキラ・メイク わこうど @shuta0213
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