TS転生先は乙女ゲームのヒロイン?!攻略対象全員男だけど、俺は彼女を探す!
あきかたりれお
1章転生!攻略対象を躱し、推しとのフラグを打ち立て魔法学校デビュー!
第1話 乙女ゲーム攻略!逆張り開始!
魔法学園でトラブルを解決しながら、4人の攻略対象と恋愛ができる人気乙女ゲーム。
「ユメヒメ&ラブマジック」通称ユメマジ。
寝落ち前に乙女ゲームなんて触ったのが運の尽きだったのか──気づけば俺は、画面の中にいた。
俺…まさかの主人公の「アイリス」に転生してしまいました。
「ちょっ…まっ!?なんでイケメンに迫られてんの俺?!」
俺を取り囲むイケメンとイケメンとイケメン。当たり前だ。これは乙女ゲームなのだから。
「だが!!そんなの知らん!俺は彼女が欲しい!!!逆張り?!知らん!!」
選択肢の傾向、フラグ管理、好感度の上げ下げ──攻略本より詳しい自信がある!
数多の恋愛ゲームを攻略してきた俺のチート知識を使ってイケメンとの恋愛神回避?!目指すは百合ハーレム!
こうして俺の、"百合ハーレムを築いて彼女をゲットする乙女ゲーム転生ライフ”が幕を開けた。
さて、という訳でこの俺、安藤優希(高二)はユメマジの世界に転生したわけだが─────
なんで主人公?!いや確かに俺の推しなんだけど、どうせなら俺はアイリスを攻略したいんだけど?!
ユメマジの主人公「アイリス」は田舎から「シュテラ魔法学校」に編入した天才少女。ミルクティー色のみんな大好きツインテール。紫の猫目をした、明るく活発な女の子だ。
努力家なのにそれを一切鼻にかけず、平等に接し…しかし時に頑張りすぎて涙してしまう…この子の可愛さと健気さと言ったら余裕で一晩は語れる。
乙女ゲームなのにアイリスの人気が出すぎて、男性にもウケがいい。そんな最高のゲームに転生できて嬉しい。嬉しいけどさ?!俺は彼女が欲しいし百合ハーレムの方がうれしいのね?!
でもさっっっっそくイケメンとの出会いフラグ立ちそうなんだよなぁ…
俺、アイリスは学校に向かうため三角屋根の家々が立ち並ぶ石畳の道を歩いていた。
このゲーム、世界観も好きなんだよなぁ。昔のイタリアとかフランスっていうか、そういう西洋風な感じ…パン屋も花屋も剥き出しでいい匂いだし…最高…と、集中しねぇとな。確かアイリスが遅刻しそうになって走ってたら、角で最初の攻略対象にぶつかっちゃうんだよな。
よし、まずはそれを阻止しよう。
ぶつからないよう、ゆっくり角へ向かい、アクセサリー露店の角から顔を出す。
「お、いたいた…あれが最初の攻略対象、この国の第一王子、ルシエル・アルディーニ様…」
まずこの角で出会わなければアイリスとの接点は生まれない。貴族と平民だからだ。
よし…このまま飛び出さず、ルシエルが走り去っていけば…逆張り成功─────
ドムッッ
「ぐはっ」
「おっと!」
コ、コイツ…コイツ俺が避けたのにわざわざ曲がってまでぶつかってきた…だと…?!
「申し訳ない…前を見ていなくて」
俺、アイリスの腰を抱いて受け止めるルシエルは流石の包容力。
美しいシルバーの髪に、青い瞳。心優しく、分け隔てなく、それでいて誠実。
王道イケメンキャラだが、「皆に優しいから物足りない」との理由で他の攻略対象との人気争いは五分五分のキャラクターだ。
つーか…近いんだけど。画面越しでも知ってたけど超イケメンだなルシエル…いやでも俺はさ、受け止める側になりたいんだよね。俺もアイリス受け止めたいんだよね!!!
「い、いえ…私の方こそすみません…」
「はっ…君、膝から血が出ているじゃないですか!君もシュテラ校の生徒みたいだし、保健室まで運びます!」
「い、いえそんなっ」
あ〜〜〜お姫様抱っこだぁ〜〜〜!!!確かにこのシーンの書き下ろし、アイリスめっちゃ可愛いし、ルシエルとの距離がいきなり近くてドキドキするとこなんだけどさ〜〜〜
人生初のお姫様抱っこは、されるんじゃなくてしたかったんだよなぁ…
トホホ。虚無になりながら必死に俺を運ぶルシエルを見上げる。女子ならこういうのにキュンときたりするのだろうか。
1人目の攻略対象との出会い阻止、失敗。
あれ?案外逆張り、難しい…?…いや、まだ1人目だ。ここからが本番だ!!
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