ヌーディスト・ヒーロー 〜服を脱ぐたび強くなる僕、世界を変える〜
本を書く社畜
第1話:最低(F)ランクの変態スキルと、人生の絶望
「次、裸藤 真。前へ」
金属質の冷たい声が、薄暗い『ギフト授与庁』に響き渡る。18歳を迎え、真は運命を決めるスキル授与の場にいた。
真が水晶玉に手をかざすと、玉は一瞬、眩い金色に輝いた――そしてすぐに、泥のような濁った灰色へと変色した。それは、最低ランクのFを意味していた。
周囲から堪えきれないような笑いと、同情の囁きが起こる。Fランクは、一生底辺の負け組の烙印だ。
職員が、冷静だがどこか侮蔑の滲む声でスキル名を告げる。
「裸藤 真に授与されたギフトは――『ヌーディストブースト』。ランクはF」
会場は、爆発的な笑いに包まれた。「脱ぐのか?」「変態じゃねえか!」という言葉が真に突き刺さる。
真が受け取ったプレートには、スキルの詳細が記されていた。
> ギフト名:ヌーディストブースト
> ランク:F
> 効果:装備品(服、装飾品含む)を脱ぐごとに、身体能力が倍増する。
> [乗算例:3枚脱いだ場合 2の3乗 = 8倍]
> デメリット:脱衣直後、精神的ダメージ(羞恥心)を負う。
>
真は絶望した。服を脱がない限り、一生ゴミクズ同然だ。しかし、ふと、プレートの乗算の数式が彼の目に留まる。
(乗算……もし俺が今着ている、Tシャツ、ジーンズ、ベルト、靴、靴下、そして上下の下着、合わせて7枚全てを脱いだとしたら?)
(7枚脱いだら、2の7乗で128倍……この効果は、常識を逸しているのでは?)
真は、その夜、誰もいないアパートの屋上で、冒険者予備校が設置した魔力測定装置を前にした。
(試してみるか。どうせ、誰も見ていない)
真は深呼吸し、まずTシャツを脱いだ。羞恥心によるダメージが一瞬走る。次にジーンズ、ベルト、靴、靴下……次々に装備を剥がしていく。
真は、最後のブリーフを脱ぐ手前で踏みとどまり、7枚の内6枚を脱いだ。(Tシャツ、ジーンズ、ベルト、靴、靴下、上半身下着の6枚脱衣)
> 脱衣枚数:6枚!能力ブースト:2の6乗 = 64倍!
>
真は、ブリーフ一枚の異様な姿で、渾身の力を込めて測定装置に拳を叩き込んだ。
ドゴオォォン!!
装置に表示された数値に、真は息を飲んだ。
測定値:12,800
一般冒険者の平均値が100、伝説級のAランクギフト保持者が10000を超えるとされる中で、真の数値は伝説級のそれを遥かに超えていた。
真は、下半身のブリーフをきつく握りしめた。
「これが…Fランクの変態スキル……」
(世界は俺を『変態』と呼ぶだろう。それでいい。俺の最後の装備は、このブリーフ一枚。これが脱げる時、俺は世界をひっくり返す。)
最低ランクの変態スキル『ヌーディストブースト』を持つ裸藤 真の、常識を脱ぎ捨てる無双劇が、今、幕を開ける。
第2話予告: 『初ダンジョン!ブリーフ男、魔物を蹂躏す』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます