第5章  世界皇帝

第19話 「闇の権力」インペリウム



――某国地下施設、地下9階通路、一人のガタイのいい黒服の男,

焦るような急ぎ足の靴の音が、廊下に鳴り響く・・。



――コンコン


「失礼します。マルドゥクCEO。会議の準備が整っております。

向かう際は、私が同行いたしますので・・」



そうすると部屋の奥から低い声が響いてきた。

「入りなさい・・」


「はい。失礼いたします」


「見なさい。この姿を・・」


「あ、はい。これは現在の日本・・」


目の前にホログラムで映し出す映像は、現在の日本の姿


国会

都市の姿

日本人の姿

東京

株価のグラフ

人口のグラフ


「そうです。いいですか?

日本は1945年、我々インペリウムのモノとなりました。

そしてこの80年間、日本人、土地、そして精神文化を

徹底的に排除していき、今ようやく、完成するのです。


この国をモデルに全世界を統一するのです。


――新世界秩序です。いい言葉です。


見てください、この何も危機感の無い

平和と勘違いした

人間の表情を・・・


トリカゴの中に居ることさえ気づかない。


 世界の事など、全く気にしない。

 自分の国の事にも興味がない。

 自分の身も自分で守る知恵さえ無くなってしまった


保障されてることが平和と勘違いしている。


だから、平和を求め争う・・・


美しい景色じゃないですか・・人間の争い・・

それが起これば起こるほどに

我々の支配ビジネスが役立つんですよ」


マルドゥクの不気味な笑みの中にある文脈が

あまりにも過激過ぎて、黒服は言葉を失う。


「・・・・。」


マルドゥクの不気味な話が続く

「こうなる事を我々は望んでいたのです。

いよいよ、完成しますよ。


そして、全て支配されるべきなのです。


飼いならすのですよ。


反逆者どもは、消すのです。


ふっふっふっふっ・・・はーっはっはっはっ」



マルドゥクの不気味な高笑いが、通路まで響き渡る

それは、地球全体を

暗闇で覆いつくしているかのような、

そんな震えが空間を襲った。


その笑い声の余韻の中で、東京のノイズが一瞬だけ、震えた。

――――――




■インペリウム会議



世界の運命は、誰の目にも見えない場所で決まる――



首脳会談や国際サミットの裏で、

真に世界を統制する“影の政府”が存在する。

それが、インペリウム会議だ。



会場は某国地下深くの特別施設。


冷たい青白い光が天井から降り注ぎ、

金属とガラスが織りなす空間は無機質で、

空気には張り詰めた緊張が漂っていた。


中央には巨大なホログラフィックテーブル。

世界地図が立体的に浮かび上がり、

各都市や資源拠点が光の点で示されている。

その上に、今夜の議題が順番に表示される。


そして前方に座っている二人がいる。


セバスチャン・マルドゥク

(マルドゥク・インベスター・ソリューションCEO)

→ インペリウム会議の最大の黒幕。表には一切出ない、金融と遺伝子産業を融合させた“神を名乗る男”。


マーカス・レイン

(GIMC〈Global Industrial Military Complex〉代表)

→ 世界軍産複合体の最高指揮者。戦争を経済システムとして運用する冷血な戦略家。


この二人が、このインペリウム会議の運営委員


副大統領のガヴィエル・J・ハリソンは、

表情を微動だにせず座る。


彼の任務は単純だ――次期大統領として世界を“新世界秩序”に組み込むための最終調整。


しかし、その裏で行われるのは、

国家の演出と市民の感情操作、

AIと心理兵器の統合による完全統制計画だ。


円卓には、12財団の長、8研究所の代表、

そしてM.E.D(Mind Engineering Division)の

責任者たちが座る。

ここにいる全員が、世界の見えない“線”を掌握している。



そして、今夜の議題は5つ。

1. ガヴィエル・J・ハリソン次期大統領就任計画

2. AI統合による監視・制御システムの拡張

3. 新エネルギー技術と資源支配

4. 人間管理プログラム、思想と感情の統制

5. 世界市場・金融・資産の心理誘導

6. 暗躍する第三勢力の動向と封じ込め

アルフレッドは視線を円卓全員に向ける。


議長アルフレッド・カヴェンディッシュが

ゆっくりと口を開く。


「皆、準備はいいか。今宵、この会議で決まることは、

明日の現実となる。

今日の議題は全て、我々の手で新世界秩序を

確立するために必要不可欠だ。

時代は、認知戦。まず、次期大統領就任に関してだ。」



円卓には、12財団の代表、8研究所のリーダー、

M.E.Dの責任者、軍産複合体の指導者たちが並ぶ。


光が反射して輪郭が際立つ顔ぶれは、

冷酷さと知性に満ちていた。


◆セバスチャン・マルドゥク

:金融と遺伝子産業を融合させた“神を名乗る男”

◆マーカス・レイン

:戦争を経済システムとして運用する冷血な戦略家

◆ガヴィエル・J・ハリソン副大統領

:次期大統領候補。表向きは改革派、

 裏ではマルドゥク側の操り人形

◆エドワード・ヴァレンタイン

:文化・思想統制。言葉巧みに人々の心理に介入

◆ヘレン・モンロー

:教育・潜在意識書き換え。冷徹で計算高い

◆ジョナサン・カーヴァー

:金融。世界の通貨と資産の流れを掌握

◆マルセル・ブラックウッド

:新エネルギーと資源。地下資源と未来技術を独占

◆ルシア・ハルストン

:芸術・暗号・情報伝達。サイバー操作とメディア戦略

◆アーロン・ヴァルス

:世界規模の監視網を統括

◆イリーナ・ソコロフ

:AI・監視システム。人類行動の完全監視を追求

◆ダリアン・ヴェクスモア

:M.E.D代表。思想感染計画を日本で展開


他にも、12財団・8研究所の幹部たちが集い、

総勢30名弱の“影の指導者”がこの円卓を囲んでいた。



ハリソンは静かに座っていた。

拳は外套の下でわずかに握られている。

だがその目は、ホログラムの地図ではなく、

誰にも見えない“何か”を見ていた。

彼が操られているのか、自ら選んでいるのか

――誰にも分からない。

それは、彼自身にも分かっていないのかもしれなかった。


―ハリソンは椅子に深く座り、

まるで自分がこの会議を主導しているかのように頷いていた。

だが、背後のスクリーンに映るマルドゥクの光が、

その表情を冷たく照らす。

彼の発言のタイミングさえ、

まるでプログラムされたかのように正確だった。



ヴァレンタインが皮肉めいた口調で言う。

「まず、次期大統領就任の進行状況だ。

M.E.Dによる思想感染プログラムは、

全州で既にテスト済み。反応率は予測通りで、

支持率は自然な流れに乗せることが可能だ。

支持率は微増。だが“自然な流れ”という言葉ほど、

人工的なものはない」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る