詩集

花山 華残

騎士

夜を歩む者が居た。

つるぎには、意志が宿る。

その背に負うは血の記憶。

肉と鋼は、己のあかし

前に立ち。血を流し。斬り伏せる。

背に庇うものは無く。

その道は、血に濡れていた。


明けの空。

光が騎士に降り注ぐ。

抱擁。接吻。旅立つ心。

跪くことは無く、つるぎに欠けは無し。

血を払い、鞘へ納めた。

騎士の前には、道がある。

斬り伏せ開けた、その道が。

歩む。命尽きるその日まで。


日が暮れる。

その身が立つは果ての果て。

斬り伏せ。叩き。打ち据えた。

己の歩んだその道は、何時しか人が通る道。

人が見る。騎士の背中を。

前に立ち。血を流し。果てに立つ。

その背に人は息を呑む。

斜陽が、騎士を照らす。

何時までも。

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