神の巣食う山

高菜チャーハン

生ける伝説

「俺は、見たんだ。本物の、伝説の鹿を!」


友達の大輝が必死で訴えてきたが、海人(かいと)はスマホをポチポチといじりながら、どうせまたいつもの嘘だろうと鼻で笑った。都市伝説好きの大輝は、今回、「ペルセス」という異国の山中で、その神々しさから神とも呼ばれる「光り輝く鹿」を見たらしい。


「どうせ見間違いだろ」


海人はため息をつきながら、画面から目を離さずに言った。


「ほんとなんだ!本当に、あの鹿は光っていた!」大輝は興奮気味に、その手のひらまで光を帯びているかのように熱弁した。


「そんなこと、あるのか?」


その言葉の響きに、ほんの少しだけ、海人も気になったのだった。


---


ペルセス王国

  

「しっかし、鹿に夜光塗料を塗るって対策、大成功だったな」と、作業服姿のラインズが言った。


「ああ。この辺りの山道は鹿が飛び出してきて危なくってしょうがねえんだ。これで衝突事故も減るだろ」と、隣のカシスが答える。


ペルセス王国では、野生動物との衝突事故減少対策として、夜道に出没する野生の鹿を見つけ次第、捕獲・拘束し、その全身に光る塗料を塗るという措置が取られていた。


その作業が、いつしか伝説の「神の鹿」を生み出すことになった。

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神の巣食う山 高菜チャーハン @mast145

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