第七章:王との謁見と新たな使命

優勝した翌日、蓮は王城に呼ばれた。


「王様が、あなたに会いたいとおっしゃっています」


侍従に案内され、蓮は玉座の間へ。


そこには、威厳ある老王が座っていた。


「よくぞ参った、レン。お前の料理、見事であった」


「ありがとうございます」


「実は、お前に頼みたいことがある」


王は真剣な表情になった。


「この国は今、危機に瀕している。北の国境地帯で、飢饉が発生しているのだ」


「飢饉……」


「ああ。魔物の大量発生により、農地が荒らされ、作物が育たない。このままでは、数万人が餓死する」


王は蓮を見つめた。


「お前の料理の力で、人々を救ってくれないか」


蓮は迷わず答えた。


「はい。僕にできることなら、何でもします」


「ありがとう」


王は安堵の表情を浮かべた。


「では、すぐに北の地へ向かってくれ。勇者パーティーも同行する。魔物を討伐しながら、人々に食料を届けるのだ」


「分かりました」


こうして、蓮は再び勇者パーティーと共に旅をすることになった。



* * *


北の国境地帯は、想像以上に悲惨な状態だった。


痩せ細った人々、荒れ果てた農地、そして大量の魔物。


「ひどい……」


リィナが呟いた。


「まず、魔物を討伐する。レン、お前は村人たちに食料を配ってくれ」


リオンが指示を出す。


「分かりました」


蓮は持ってきた食材で、大量の料理を作り始めた。


『復活のスープ』。


栄養満点で、体力を回復させる特製スープ。


次々に料理を作り、村人たちに配る。


「これを食べてください」


「ありがとう……ありがとう……」


村人たちは涙を流しながら食べた。


そして、食べた人々の顔に、みるみる生気が戻っていく。


「体が……軽くなった!」


「力が湧いてくる!」


蓮の料理は、絶望していた人々に希望を与えた。



* * *


一方、勇者パーティーは魔物の討伐に苦戦していた。


「くそっ、数が多すぎる!」


ガレンが叫ぶ。


魔物の数は数百匹。いくら勇者パーティーでも、全滅させるのは困難だった。


その時、リィナが叫んだ。


「レンさん、危ない!」


魔物の一匹が、蓮に襲いかかってきた。


蓮は咄嗟に、近くにあった鉄鍋を掴んだ。


「うおおおお!」


本能的に鉄鍋を振り回す。


すると、魔物が一撃で倒れた。


「え?」


蓮自身も驚いた。


ステータスを確認すると、料理を作り続けたことで、いつの間にかレベルが大幅に上がっていた。


そして、新しいスキルが追加されていた。


【料理人の闘志 Lv.1】

効果:調理器具を武器として使用可能。攻撃力は作った料理の質に比例する。


「こんなスキルが……!」


蓮は鉄鍋を構えた。


「よし、やってやる!」


蓮は魔物たちに突撃した。


鉄鍋を振り回し、次々に魔物を倒していく。


「なんだあれは!?」


ガレンが驚愕する。


「レンが……戦ってる!?」


リオンも信じられない様子だった。


蓮の活躍により、魔物たちは全滅した。



* * *


戦闘後、勇者パーティーのメンバーたちが蓮のもとに集まった。


「レン、お前……いつの間にそんなに強くなったんだ?」


リオンが尋ねる。


「分かりません。気づいたら、レベルが上がっていて……」


実は、蓮のレベルは50を超えていた。


料理を作るたびに経験値が入り、知らない間に成長していたのだ。


「信じられない……」


ガレンは複雑な表情をしていた。


「とにかく、ありがとう。お前のおかげで助かった」


リオンが笑顔で言った。


「いえ、僕はただ……」


「レンさん、すごいです!」


リィナが抱きついてきた。


こうして、蓮はただの料理人から、戦える料理人へと進化した。

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